川本眼科

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院長のつぶやき

院長のつぶやき 「お申し出下さい」は誤用? 2016年9月28日

待合室に「〇〇の方はお申し出下さい」と掲示を出したところ、ある人から
「この言い方はよく聞くけど誤用ではないか」と指摘を受けた。
「申す」という謙譲語と「お〇〇下さい」という尊敬表現が混用されているというのだ。
このことを知り合いに話すと、実は自分も前から違和感を感じていたという人が多かった。

結論から言うと、「お申し出下さい」は正しい言い方で誤用ではない。

「父がよろしくと申しておりました」「A氏に〇〇と申し上げた」は謙譲語。
学校で 「申す」=「言う」の謙譲語 と教えられ、脳裏に刻み込まれる。
「申された」が誤った敬語表現だということもしばしば強調される。
そのせいで「お申し出下さい」も誤用だと思う人が多いようなのだ。

「申す」は確かに謙譲語として使われる。しかし、謙譲語ではない場合も多い。
「申し込む」「申し立てる」「申し出る」「申し渡す」「申し合わせる」
これらに謙譲の意味は全くない。漢字熟語の「申告」「申請」等も謙譲語ではない。

したがって、「申し出る」を尊敬表現にした「お申し出下さい」は正しい尊敬語。
同じ構成の「お申し込み下さい」なら違和感を感じない人が多いのではないだろうか。

ただ、そうは言っても、この言い方に違和感を感じる人がいるのも事実。
誤用ではないのだが、そのことをいちいち説明するわけにもいかない。

そこで、言い換えが可能な場合にはこの表現を避けることにした。
川本眼科の掲示は「お申し出下さい」→「お知らせ下さい」になった。

—-

以下余談。
「変わりない」を尊敬表現にすると「お変わりありません」
正しいのだが、下手すると「(ご飯の)おかわりありません」に聞こえる。

囲碁では「握り」という方法で先攻後攻を決める。
対局前に係が「お握り下さい」と声をかける。言葉としては正しい。
だが、これも下手すると「(弁当の)おにぎり下さい」に聞こえる。
NHKの囲碁番組ではこれを避けるため「握って下さい」にしている。

敬語は何かと難しい。

(2016.9.28)

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