院長のつぶやき 1時間25人の診療って・・ 2017年8月9日
川本眼科にはいろいろなダイレクトメールが送られてくる。
たいていは捨ててしまうが、中には興味を引くものもある。
良い意味でも悪い意味でも。
眼科診療効率化をうたった怪しげなセミナーへのお誘い。
船井総合研究所というコンサルタント会社の主催。
1人の眼科開業医の成功事例を紹介。
1時間に10人から25人に増やすことに成功したとのこと。
そりゃ素晴らしい。
うちもそれだけ効率化できたら待ち時間も解消して万々歳だ。
でも待てよ。
1時間に25人診るということは1人2分強でこなす必要がある。
眼科の診察を一通りすれば頑張っても1~2分はかかる。
1分で終わる人もいるけど、5分以上かかることもある。
2分弱でこなすには、
1.患者さんの話はほとんど聞かない
2.医師の説明は30秒以内
ということにならざるを得ない。
話を聞くのはスタッフ任せ、説明もスタッフが担当するらしい。
事前にパンフレットや説明ツールを用意してそれを使うらしい。
うーん。
確かに、診療効率を極限まで追求するとそうなる。
1分で診ても10分で診ても診療報酬は大して変わらない。
一番儲かるやり方ではある。
でも、それで患者さんは満足しているのだろうか。
たぶん、不満だらけだ。
「あそこの医者は話もきいてくれない」
「説明もろくすっぽしてくれない」
ほかに通える眼科が無いから仕方なく受診しているのだ。
説明をきちんとしてくれる眼科が近くにできれば、逃げ出す。
医療にはマニュアル化できない部分がたくさんある。
でも、医師でないスタッフはマニュアル化した画一的な説明しかできない。
患者さんは1人1人違うのだ。
医師がすべき説明業務をスタッフに丸投げすることなどできない。
本来できないものを強引にやっていでれば、相当にひずみが出るはず。
目指す方向性が間違っている、と私は思う。
(2017.8.9)