川本眼科

文字サイズ

小 中 大

院長のつぶやき

院長のつぶやき 眼圧と血圧 2017年8月11日

眼圧が高いほど、緑内障は進行しやすい。
このことはほぼ証明されている。

眼圧が正常範囲でも緑内障にはなる。
これを正常眼圧緑内障と言う。
実は「眼圧が高い緑内障」より「正常眼圧緑内障」のほうがはるかに多い。

治療は、「眼圧を下げること」だ。
今のところ、これしか方法がない。
目薬も、レーザーも、手術も、すべて眼圧を下げることを目的に行う。
正常眼圧緑内障でも、もっと眼圧を下げれば進行を抑えることができる。

—-

眼圧と血圧は名前が似ていて混同されやすい。
「高血圧→高眼圧」と誤解されていることが多い。これは誤り。
血圧が高いからと言って、眼圧が高いわけではない。
両者は全く別のものだ。

だが、関連はある。
緑内障は眼への血流が悪くなるために起こると考えられている。

眼に入る血流量は
「眼潅流圧=眼底平均血圧-眼圧」
で決まるとされている。
血液は、圧が高いほうから低いほうに流れる。
眼に血液を送り込むのは「眼底平均血圧」の力だ。
「眼圧」は眼に血液が入ってくるのを邪魔する。
この差が血流量を決めるのだ。

眼圧を下げれば、眼潅流圧は上がる。そして血流が良くなる。
これが緑内障治療に眼圧を下げることが有効な理由だという。

この式から考えれば、眼底平均血圧を上げることも有効なはずだ。
そして、眼底平均血圧は、当然全身の血圧と同じように変動する。
つまり、血圧が高いほど、緑内障には良いと推測される。

実際、低血圧だと緑内障が進行しやすいという報告も存在する。

—-

上記の議論を踏まえれば、次のような仮説が立てられる。
「緑内障の人は血圧を高く維持すべきだ」と。

この仮説は、まだ正しいのかどうかわかっていない。
緑内障の専門家でも、このことを強く主張する人はいないようだ。

もし仮説が正しいなら、緑内障+高血圧の患者はどうすればいいのか。
高血圧の治療をやめてしまったほうが緑内障には良いことになる。
だが、高血圧は脳卒中や心筋梗塞を起こす最大の要因だ。
死亡リスクや半身麻痺のリスクもある、怖い病気だ。

現時点で、仮説を直接証明するような論文は出ていない。
血圧の高低と緑内障の進行の関連を調べた大規模な調査がない。

現時点では、高血圧の治療は今まで通り続けるのが無難だ。

(2017. 8.11)

院長のつぶやき

最近の投稿
2020年8月2日
最近の川本眼科
2020年6月8日
コロナの日常
2019年11月4日
名古屋市医師会急病センター
2019年11月1日
川本眼科25周年
2019年2月25日
リニア新幹線
2019年2月3日
北側への増築工事
2018年4月26日
受診されていない方のお問い合わせ
2018年4月16日
身体障害認定基準の改正
2018年4月13日
スマホの買い替え
2018年2月25日
入試出題ミス救済処置への疑問