川本眼科

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院長のつぶやき

院長のつぶやき 色覚多様性? 2017年10月26日

本日の日本経済新聞によると、日本遺伝学会は
「色覚異常」を「色覚多様性」と言い換えることを決めたそうだ。

新聞記事を読むまで、そんなことは知らなかった。
そして、記事では「色覚異常」は過去の名称だと断定している。

これは、事実に反する。
私の知る限り、日本眼科学会、日本小児眼科学会などはそういう決定をしていない。
今でも「色覚異常」が眼科用語集に載っている公式用語である。

しばらく前に、用語の改訂が行われた。
「第1色盲」→「1型2色覚」
「第2色弱」→「2型異常3色覚」
など、「色盲」や「色弱」という用語は撤廃された。

しかし、「色覚異常」という総称自体は、既に広く普及しており、
この名称を変更することは混乱を招くとして、変更が見送られた経緯がある。

同じ疾患について別名が増えるのは、望ましいことではない。
学会ごとに違う名称というのも困る。
歴史的経緯で1つの疾患に複数の名称がつくことはありうる。
それを統一しようとすると大変な労力が要る。
せっかく統一しているのに、逆行させるのはいかがなものか。

名称を変更するなら、学会同士で意思疎通を図って、統一して変更すべきだ。
日本医師会が音頭を取って「痴呆症」→「認知症」と変更した成功例もある。
私は多数派が「色覚多様性」を推すなら反対はしない。変更に従う。
でも、まだそういう意見集約自体がなされていないではないか。

恐らく、人権擁護派を気取った人たちのフライングなのだろう。
最も影響を受ける眼科医の意向を無視した用語変更などありえない。
自分たちだけよかれと思ってもダメ。他人の意見もよく聞かないと。、

主張には理解できる点もあるが、マイナス面を軽視しすぎている。
単純に、過去の論文を調べることだけ考えても、用語は同じ方が良い。

私自身は「色覚異常」という用語にさほど差別的な意味合いはないと思う。
「異常」という言葉への過剰反応ではないか。
言葉狩りはあまり生産的だとは思えない。
用語だけ変更しても、そこにまた色が付くこともよく経験する。
「メタボ」が「デブ」の代名詞となってしまったように。

私は今のまま、用語を変更する必要はないと思う。

(2017.10.26)

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