川本眼科

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川本眼科だより

川本眼科だより 176川本眼科20周年 2014年9月30日

川本眼科だより57号に「川本眼科10周年」という記事を書きました。それからさらに10年が経ちました。なんだかあっという間に過ぎてしまったような気がします。

11月1日は川本眼科の開院記念日です。この日を前に、川本眼科の20年を振り返ります。

開業/中京グループ参加/移転

開業のいきさつは10周年の時に川本眼科だよりに詳しく書きました。桜本町1番出口があるビルの1階にテナントとして入りました。開業した決め手は交通至便な立地でした。歩道が広く電信柱もない綺麗な町並みが気に入りましたし、当時地域に眼科の数が少なかったのも魅力的でした。出身大学がある東京を離れて、家内の実家がある名古屋で開業することにしたのです。

東大の大鹿先生(現筑波大教授 WOC2014会長)に中京病院の市川一夫先生を紹介していただいて、中京グループに参加することになりました。

中京グループには大勢の眼科医が集まり、その勢力は大学の医局並みです。基礎研究分野では大学にかないませんが、臨床には強く、特に手術が上手いのが最大の強みだと思います。

グループとして病診連携することにより、いざというときに各分野の専門家のバックアップを受けることができます。そして、自院だけでは不可能な高度医療が可能になりました。

2000年には道路を隔てた向かいに新築移転しました。これが今の川本眼科です。悩みに悩んだ末完成した石貼りと熱線反射ガラスを組み合わせたデザインは、今でも私たちの自慢です。

安定した10年間

最初の10年に比べると、11年目から20年までは、開業とか移転とかいった大きな事件はなく、安定していたと言えます。

スタッフは入れ替わりが少なく、10年以上働いてくれている人が何人もいます。医学的知識を備え、診療のやり方がよくわかったベテラン揃いになったことで、チーム医療としての総合力はずいぶん向上したと思います。

反面、スタッフの平均年齢が上がったためフットワークが悪くなった面があり、今後若い活力を導入することが課題だと思います。

この間に、子供たちが成長して、息子も娘も東京にある大学の医学部に入りました。今は2人とも「親の跡を継ぐ気はない」などと言っていますが、眼科の道にさえ進んでくれれば、いつか名古屋に戻ってくるのではないかと期待しています。

患者さんの増加

患者さんも、ありがたいことに増え続けています。長期に通院してくださる方も多く、慢性疾患で大切な「継続した長期の経過観察」ができているのはうれしいことです。

反面、外来が混雑し、待ち時間が長くなりすぎているのは大問題です。1人1人にゆっくり時間を取れなくなっています。ただ「きちんとした説明と情報提供」は開業時に掲げた川本眼科の原点であり、私たちの初心でもあるので、何とか守り続けていきたいと考えています。説明と待ち時間をどう折り合いをつけていくかは永遠の課題です。

通院の間隔をあける方策は既に実行しています。病気を悪化させたり手当てが遅れたりしたのでは本末転倒なので、さらにあけるのは問題です。

広告はごく一部だけ残してほとんどやめてしまいましたが、患者さんの数は減っていません。今はインターネットのほうが影響力が大きいように思われます。来年は長年続けてきた電話帳広告も思い切ってやめるつもりです。さて患者さんの来院数に影響があるでしょうか?

検査機器が増えて外来が手狭に

眼科領域では次から次へと新しい検査機器・治療機器が開発されています。新技術を取り入れた画期的な機械は、診療の質を向上させる可能性があれば、たとえ高価でもできるだけ積極的に導入してきました。

それにつれて、外来はどんどん手狭になっていきました。レイアウトを工夫したり、使うことが少なくなった機器を2階に移動させたり、医局として使っていた部屋を検査/治療用に明け渡したりして、今までは何とかスペースをひねり出してきましたが、そろそろ限界に近づきつつあります。

待合室のスペースも不足しています。混雑時には座る場所が不足しています。本来は通路のはずの場所に長椅子を置いて凌いでいます。トイレも増やしたいのですがスペースがありません。

絶対的に手狭になってしまっていて、新しい機器の導入を手控えなければならない事態に至っているのは深刻です。

一時は、5mの距離を取る普通の視力計の代わりにスペースを節約できる1m視力計を導入する案を検討しましたが、試験的に使ってみたところ患者さんの評判が良くありませんでした。やはり普通の5m視力計のほうが見やすいのです。

簡単な解決策はないようです。もう1回移転すればよいのでしょうが、巨額の費用がかかることを考えれば現実的ではありません。

川本眼科の次の10年

川本眼科の次の10年(21年目~30年)はどうなるでしょう? 

基本的な診療スタイルは変わらないでしょう。引き続き、白内障・緑内障・網膜硝子体疾患(糖尿病網膜症・加齢黄斑変性症など)の診療が主体になると思います。高齢化に伴い、白内障手術はますます増えそうです。コンタクト診療は夜間や土日や祝日に開けている眼科に任せたほうが患者さんにとっても便利なので、段階的に縮小することを考えています。

心配なのは、院長・副院長が病気にならないかです。60歳代になれば病気は急に増えます。医師も歳には勝てません。定期的に通院するために非常勤の医師を頼むとか、水曜は1日休診にするなんて事態も起こりそうです。

建物は途中で改装することになるでしょう。手狭なのを何とかする必要がありますから。具体的には外来手術/処置室を2階に移設する案を考えています。水回りを含むかなり大がかりな工事になるので、2~3ヶ月くらい患者さんにご迷惑をおかけすることになるかも知れません。

もしも隣の土地が手に入るような幸運があれば、増築することで外来スペースが不足している問題は一気に解決しますが、どうも難しそうです。それに後継者問題に目処が立たないと、借金をするようなリスクは背負えないのが正直なところです。

今後ともよろしくお願いします

川本眼科が、こうして20年やってこられたのは、地域の皆様に支持していただいたおかげです。これからも、受診の時点で最善と考えられる医療が受けられるよう、しっかりと勉強し、最先端の医療機器を揃え、病診連携を通じて高度医療を提供して参ります。

あらためて、今後とも川本眼科をどうぞよろしくお願いいたします。

(2014.10)