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川本眼科だより

川本眼科だより 182病診連携と予約 2015年3月31日

詳しい検査や各種の手術などが必要な場合には、大きな病院にお願いすることになります。逆に、検査や治療が一段落すると、かかりつけの診療所に戻って通院します。これを病診連携と呼んでいます。

今回は診療所から病院に紹介する際の予約方法について取り上げます。

紹介率が低いと診療報酬減額

厚生労働省は「大病院は高度な医療に特化して、慢性疾患の経過観察や軽い病気は地域医療を担うかかりつけ医が担当することが望ましい」と考えています。そのため、大病院に紹介率逆紹介率を上げるよう要求し、紹介率が低いと診療報酬を減額する罰則を設けています。

そのため、大病院はどこも、紹介率・逆紹介率を上げることに必死になっています。
紹介率=初診患者のうち紹介状を持参した人の割合
逆紹介率=病院から他の医療機関に紹介した割合

紹介状を持たないで大病院にかかった場合は、選定療養費という特別料金がかかります。名大は4千円、名市大は4千円、中京病院は3千円、八事日赤は5千円(+消費税)です。将来は1万円くらいになる可能性があります。その上、選定療養費以外に初診料2,820円、再診料720円を全額自己負担にする案が検討されていて、2016年にも導入する方針だそうです。

紹介状がないと受け付けないと明言している病院は今でもありますし、近い将来さらに増えると予想されています。

病診連携登録医になると

紹介率を上げるため、大病院は開業医に様々な働きかけをしています。病診連携室という専門部署を立ち上げ、病診連携登録医になってくれと低姿勢で依頼します。

登録すると病院の診療案内や医師を紹介する分厚い冊子が送られてきます。開業医向けに月1回程度新聞を発行している病院もあります。外来の医師担当表なども定期的に送付されます。正直、涙ぐましい努力です。

一時は大病院からの登録依頼にすべて応じていましたが、遠方などの理由で全く患者さんを紹介することがない病院は登録を取り消しました。

中京病院はネット予約で

川本眼科は中京グループ(中京病院眼科を中心にした眼科専門医グループ)に所属しているので、中京病院に紹介することが圧倒的に多いのです。

家内も私も、中京病院眼科の医師なら、誰が何の専門なのかをだいたい把握していますし、逆に向こうも私たちのことを知っていて、川本眼科で何ができるかわかっています。実際に顔を合わせる機会も結構あります。つまり、顔の見える関係なので、連携がしやすいのは確かです。

現在、中京病院にはインターネットを使って直接予約が取れるようになっています。中京病院が時間外でも休日でも構わないのは助かります。
※FAX予約も一部残っています。

予約しても時間通りにはならず、結構待たされてしまうのが常ですが、それでも予約も紹介状もなしに受診するより優先にしてもらえます。これは大きなメリットです。

中京病院では診察の優先順位は下記↓の通りで、ネット予約をお勧めします。
1.病診連携医からネット予約した初診患者
2.予約のある再診患者
3.紹介状を持参した初診患者
4.紹介状を持参した再診患者
5.予約もなく紹介状もない当日受付の患者

名大、名市大等はFAX予約で

名大、名市大、藤田保健衛生大、八事日赤(名古屋第二赤十字病院)、名古屋医療センター、愛知医大等に紹介することも可能です。

たいていは患者さん自身のご希望によるもので、一番多いのは既に患者さんが他科の病気でその病院にかかっているから、という理由です。名市大や八事日赤は地下鉄の駅のすぐそばなので、通いやすいようです。知人から良い病院だと聞いたという口コミでの紹介希望もよくあります。

そのほか、名大は斜視弱視が得意だとか、愛知医大には形成眼科で有名な先生がいるとか、私から情報提供することもあります。

ただ、直接の面識がないので、基本的に「依頼して後はお任せ」という形になります。機動的な連携は取りにくいのは仕方のないことです。

これらの病院にはFAXで予約することができます。たいていは30分以内に返信FAXが送られてきて、予約の日時が指定されますが、電話でやりとりすることもあります。名大だけは、後日患者さん本人に名大から電話で予約日時を連絡する方式を採用しています。

どの病院も予約を取ってあったほうが予約なしよりも優先されるのは同じです。もし都合が悪くなっても、普通は電話で予約日時を変更できますから、一応は予約しておいたほうが得です。

病院受診時に持参するもの

紹介状(診療情報提供書)は必ず要ります。これがないと余分なお金を取られます。

予約票(予約の日時を記した紙)も忘れずに。なくても診察は受けられるでしょうが、予約確認に手間取る可能性があります。

保険証、医療受給者証等も当然お持ち下さい。

お薬手帳または薬剤情報提供書も持って行くべきです。予約票には持参するよう記載されていないことが多いのですが、新たに薬を出す場合にはチェックが必要です。薬の現物を持って行っても調べるのに時間がかかってしまいます。

病気別の主な紹介先

川本眼科からはいろいろな医療機関に紹介可能です。患者さんのご希望を尊重していますが、特別のご要望がない場合には以下の施設にご紹介することが多いです。

白内障手術 中京眼科 名古屋アイクリニック
(入院が必要な場合に限り中京病院)
緑内障手術 中京眼科に受診して手術は中京病院
硝子体手術 中京病院
網膜剥離手術 中京病院
内反症や眼瞼下垂 小出内科眼科医院 中京病院
特殊な眼形成手術 愛知医大
涙道手術 中京病院  名古屋医療センター
硝子体注射 中京眼科
斜視弱視 中京病院 名大
角膜疾患 名古屋アイクリニック 中京病院
色覚異常 中京眼科
MRI 名古屋セントラルクリニック
(脳外科などに依頼せず、検査を急ぐ場合)
CT 石川クリニック  北村病院 笠寺病院
(他科に診察を依頼する場合は中京病院が多い)

なお、レーザー治療は特殊なやり方でなければ川本眼科で行います。手術後の経過観察はその病院でそのまま診る場合と川本眼科で診る場合があり、ケース・バイ・ケースです。

(2015.3)