川本眼科

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川本眼科だより

川本眼科だより 4コンタクトのケア 2000年6月30日

コンタクトは、ケアが大切です。
正しいケアをしないと、いろいろトラブルをおこします。
最初はおそるおそるだったものが、慣れるにしたがっていい加減になってくるのはよくあること。
ついつい自己流になりがちです。

でも、誤った取り扱いのために、ひどい角膜炎をおこしたり、時には失明することがあるとしたら・・・!!
さあ、正しいケアをしているか、チェックしてみましょう。

こすり洗いが大切

現在、ソフトコンタクトについては、1剤で洗浄・保存・すすぎまでをまかなうMPS(マルチ・パーパス・ソリューション)というケア用品が主流です。
具体的な商品名をあげると、オプティフリー,アイネス,レニュー,コンプリートなどです。

MPSは確かに便利ですが、欠点もあります。
一番問題なのは、洗浄力が弱いことです。そのため、MPSの場合、こすり洗いが必須です。こすって物理的に汚れを落としてやることで、洗浄力の弱さを補うことができます。20回くらいこすって洗いましょう。

このことは徹底されているとは言えず、こすり洗いが不十分のため、汚れが落ちず、アレルギーや角膜障害をおこす方が多くなっています。
コンタクトの販売店が「こすり洗いしなくてもよい」と誤った指導をするケースも後を絶たず、困ったものです。

ただ、非常に手荒れがひどい方の場合、こすり洗いでコンタクトに傷をつけてしまうことがあります。こういう場合はMPSにこだわらず、過酸化水素によるコールド消毒がおすすめです。過酸化水素はきちんと中和しないと角膜をいためてしまう危険がありますが、最近では、中和するのを忘れないよういろいろ工夫してあります。例えば、コンセプト・ワンステップという製品の場合、最初からカプセル入りの中和剤を投入しておき、中和後はピンクの色がつくようになっています。

保存液は毎回交換する

また、保存液を交換せずにずっと使い続けている方がいらっしゃるようです。
保存液は原則としてコンタクトを取り出して装着したときに捨てて、ケースを洗い、ケースを乾かしておきましょう。再び装着するときに新しい保存液を 満たします。

コンタクトの出し入れの時には、細菌などの微生物がケースに入り込みやすく、ケースの中で細菌やカビなどが繁殖していることがあるのです。
たとえ、長期間コンタクトを使用しないときでも、1週間に1度は保存液を交換して下さい。

もちろん、水泳などで外出先でコンタクトをはずしたいこともありえます。
そういう場合も、本当は、乾燥させたケースと保存液を別々に持って、必要なときに保存液を入れるのが正しいのです。
でも、保存液もかさばるし、保存液を入れたケースを持ち歩くのは便利ですよね。そんな時は、ケースを2つ使い分けて、それまで使ったケースは洗浄・乾燥させておき、別のケースに新しい保存液を入れて持ち歩くのがよいでしょう。

ケースは3ヶ月ごとに交換

最近、話題になっているのが、コンタクトの保存ケースの汚れです。
点状の黒い汚れがくっついて取れなければ細菌かカビなどの微生物によるものです。バイオフィルムと呼ばれる強固な膜を作っており、ちょっとやそっと洗ったくらいでは落ちません。つまり、ケース内に細菌を飼っているようなものです。

コンタクト使用者で、なかなか角膜障害が治りづらかったり、一度治ってもたびたび繰り返したりする場合、ケースの汚れが原因になっていることがあります。

コンタクトのケースを半永久的に使えるものと誤解してはいらっしゃいませんでしたか? コンタクトのケースは定期的に交換する必要があるのです。とくに、MPSの場合、それほど殺菌力を期待することはできません。きちんと決められたケアをしていても、ある程度細菌は残ります。ですから、それだけ頻繁にケースを交換しなければなりません。
MPSを使用する場合、3ヶ月ごとにケースを交換することが推奨されています。

最近では、MPSを販売しているメーカーも、眼科医側からの要請を受けて、MPSにケースを添付した製品を出しています。この製品を利用するのが手軽で便利だと思います。

1ヶ月タイプはタンパク除去を

2週間タイプの使い捨てコンタクトでは、 ケアはMPSだけでよいとされています。

この頃は、さらに長く、1ヶ月使えるというコンタクトが出ています。
(従来型のソフトコンタクトを1ヶ月ごとに交換するということで売っていることが多い)

使い捨てと言っても、これだけ長期間使用することになると、涙の中のタンパク質がコンタクトに蓄積してしまいますから、角膜障害やアレルギーがおこりやすくなります。ふつう1週間に1回はタンパク除去をしたほうがよいとされています。

タンパク除去をしなければならないとすると、ケアが簡単という使い捨てコンタクトのメリットがなくなってしまいます。
コンタクト販売店がケアの簡単さをアピールしようとして、「タンパク除去は不要」と誤った指導をしていることがあるので、注意が必要です。

アレルギーならタンパク除去を

それでは、2週間タイプではタンパク除去は完全に不要なのでしょうか?

2週間の間にも、涙液中のタンパク質はコンタクトに付着し、蓄積します。
普通は2週間ならタンパク除去をしなくても大丈夫ですが、人によってはめやにが多く、コンタクトが汚れやすいので、見えづらくなったり、汚れによるトラブルをおこすことがあるのです。そういう場合は途中でタンパク除去をしなければなりません。あるいは使用期間を短くして、2週間経つ前に交換しなければなりません。

とくに、アレルギーがある方では、めやにも多くなっていますし、コンタクトに付着したタンパク質にアレルギー反応をおこして悪循環となりやすいので、なおさらです。こういうときは毎日でもタンパク除去をしましょう。コンタクト自体を1週間くらいで交換したほうがよいかも知れません。アレルギーがひどければ1日タイプの使い捨てに変更することをお勧めいたします。

当然のことですが、2週間という使用期限を守らない場合、トラブルはおこりやすくなります。

使い捨てコンタクトは従来型のソフトよりもトラブルが少ないと言われていましたが、使用者が増えるにつれ、正しい取り扱いを守らない(知らない)ために、トラブルが多発しています。
なにしろ、コンタクトは目に直接入れるものです。
トラブルをおこしてしまっては大変です。気をつけたいものです。