朝食抜きの時どうする？

薬をもらうと必ず服用方法の指示があります。

「朝食後１回」とか「食前３回」とか書いてあります。

ところが、世の中には朝食は取らない、なんて方もたくさんいらっしゃいます。前日あぶらっこいものを食べすぎて朝食べられないということもあるでしょう。こんな時、薬はどうすればいいんでしょう？

そもそもなぜほとんどの薬が食後にのむことになっているんでしょう？ 食後以外の時間帯にのむと何か悪いことがおこるんでしょうか？

こういうことを心配して、食事を抜いたときは薬をやめておく、という方が多いようなのですが、それでいいんでしょうか？

食後でなくてもよいことが多い

実は、ほとんどの薬は、食事と関係なくのんでもほとんど問題ないのです。薬の効果にはあまり影響ありません。

むしろ、空腹時のほうが吸収がよいくらいです。

胃の中に食物が残っている場合は、ゆっくりと吸収されていきます。

ではなぜ、ほとんどの薬が「食後」にのむ指定になっているかというと、胃が荒れることを心配しているのです。

薬の添付文書をみると、副作用として胃腸障害があげてあることが多く、食後にのむことで胃腸障害を軽減できると考えられるわけです。

もっとも、胃は精神的な影響を受けやすいので、心配性の方が薬の副作用を心配しながら

のむと、胃が痛くなったりすることがありますから、本当に薬のせいなのかどうかはよくわからなかったりします。

もう１つの理由として、食後の指定にしておいたほうが薬をのむのを忘れにくいということがあります。食事が終わった、ああそうだ、薬をのまなくちゃ、というわけですね。それに、薬をのんだかのまなかったか、自分でわからなくなるということも少なくなります。

１日１回の指定になっている薬のほとんどが朝食後のむよう指定してある理由も、「のみわすれないようにするため」です。

実際には、昼食後でも夕食後でもかまわないことが多く、さらに言ってしまえば食事と関係なくいつのんでもよいことが多いのです。

薬は、１日にどれだけの量が必要かをいろいろな角度から検討して決めています。期待した効果を得るためには、１日にのむ量は守ったほうがよく、朝食抜きでも朝きちんと薬をのんだほうがよいと思います。胃腸障害を心配するなら、くだもの１切れ、ビスケット１枚でもいいから食べておけばいいでしょう。

時間指定を守る必要のある薬

ここまで、食後と書いてあってもあまり気にする必要がないと説明してきましたが、数は少ないものの絶対に指定を守らなければならない薬もあります。

１つは血糖に関係する薬です。食事もしないで血糖を下げる薬をのめば、当然低血糖になってしまい、大変危険です。

まあ、常識で考えればわかると思いますが・・・

それから、ホルモン剤などは、食事とは関係が ありませんが、のむ時間帯を守ったほうがよいと 言えます。本来ホルモン量には日内変動というも のがあり、あるホルモンは朝多いとか、このホル モンは夜多いとか決まっているので、なるべくも ともとの日内変動に近い形にすることが推奨され ます。

副腎皮質ホルモン（ステロイド）はこういう薬 の代表で、「朝は３錠、昼は１錠、夜はのまない でください」などと複雑な指定がされますが、な るべく自然のリズムに近くなるようにしているの です。この場合、朝食後とか昼食後とか指定して あっても、食事はあまり関係なく、薬をのむ時間 が大事なのです。

よくわからない時は医師にご相談ください。

シートに日付を書き込もう

たいていの内服薬（のみぐすり）は、プラスチ ックのシートに入っています。シートから薬を押 し出して使います。

このシートを最初に切ってばらばらにしてしま う方がいらっしゃいますが、これはやめたほうが よいでしょう。毎年、必ずプラスチックのシート ごとのみこんでしまったという事故がおこってい ます。「そんな馬鹿なことをするはずがない」と お考えかも知れませんが、人間、あわてていたり 考え事をしていたりすると何をするかわからない ものです。ばらばらにすると紛失しやすくもなり ます。シートはそのままで、端から順番に使いま しょう。

シートには、油性のサインペンでのみはじめた 日付を書いておくことをお勧めします。とくに長 年同じ薬をもらい続けている場合など、古い薬と 最近もらった薬がごっちゃになってわからなくな ってしまうことがよくあります。のまずに１年以 上も放置してある薬は捨ててしまったほうが安全 です。日付を書いておかないといつの薬かわから なくなって困ってしまいます。日付が整理の助け になるのです。

ちなみに、目薬にも使い始めの日付を書き込ん でおくことをお勧めいたします。使い始めて１ヶ 月たった目薬は捨てましょう。

ところで、薬をのんだのかのんでいないのか、 わからなくなってしまうことってありませんか？ こういう、何回も繰り返す行為は、わからなくな りやすいですね。

シートへの書き込みは、のみ忘れを防ぐのにも 役立ちます。例えば、１回１錠１日３回のむ薬な ら、３錠ごとに印をつけておけば、のんだかのま なかったか一目瞭然です。毎日１錠のむ薬なら、 最初のんだところに日付を書き入れるだけで、薬 をのんだかどうかがすぐわかります。

こういうことは習慣です。さあ、今日から始め ましょう。薬箱にサインペンを１本入れておくと いいですよ。