院長のつぶやき インフルエンザ・ワクチンが効かないというデマ 2015年1月27日
インフルエンザ・ワクチンが効かないというデマが広がっている。
火元はビジネスジャーナルという雑誌の記事(1/23)。
既に相当の批判を浴びたらしく、今はネット上で削除されている。
記事には簡単に確認できる事実誤認が散見される。
WHOが「ワクチンで予防できない」と言っているというのは真っ赤な嘘。
ホームページには「重篤な転機を防ぐ最も有効な手段は予防接種である」とある。
さらにWHOは毎年予防接種を推奨する対象者を列挙している。
妊婦、5歳以下の子供、65歳以上の高齢者、慢性疾患患者、医療従事者・・
記事は昔主張されて批判を受けた内容の繰り返しで全く新味はない。
私は眼科医なので、利害関係が全くない立場にある。
インフルエンザ・ワクチンは自院の職員にしか接種しない。
患者さんに打つことはなく、それで儲けることもない。
4年前に、繰り返される論争に興味を持ち、自分で調べてみた。
結論は 川本眼科だより132「インフルエンザワクチンは効くの?」に述べた。
ワクチン否定論の旗手である母里啓子(もり ひろこ)氏の論理は破綻していた。
この人の名前が出てきただけで信用できないと考えて間違いないと断ずる。
私なりに結論を出して、その後も毎年職員全員に接種を受けさせている。
もちろん、私自身もワクチンを毎年受けている。
記事は「効かないワクチンと知りながら業界の利益のために売り続けている」とも主張。
こういう陰謀論みたいな話はよくあるが、ほとんどの場合裏付けなし。
闇の世界だから大っぴらにできない、みたいな話は信用しないほうがいい。
嘘をまことしやかに見せるための常套手段だから。
オウム真理教が主張した「米軍の毒ガス攻撃」と同レベルの信憑性だ。
利益というなら、ワクチンなんてやめて大流行が起きたほうが医者は儲かる。
いや、ひょっとするとワクチン無効論が繰り返されるのは本当にそういう陰謀かも?
(冗談ですよ。念のため)
ワクチンは特に高齢者には必要だと思う。
高齢者がインフルエンザにかかると死亡リスクが高い。
デマに惑わされず、毎年ワクチンを接種することをお勧めする。
(2015. 1.26)