川本眼科

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院長のつぶやき

院長のつぶやき 成人式・卒業式と商売 2018年1月12日

成人式の日に着物業者が夜逃げしたらしい。
大金を払ったのに着物を着られない女性たちに同情する。
詐欺/計画倒産ならとんでもない。
赤字倒産でも、事前に公表して善後策を講じることはできたはず。

個人的には、これを機に成人式のあり方を見直したらどうかと思う。
「成人式に着物」は別に日本の伝統行事でも何でもない。
成人式自体が戦後始まった儀式だ。

最初は着物とは何の関係もなかった。
質素な身なりで構わなかった。
途中で、着物業者がこのイベントに目をつけた。
着物を着る人が少なくなって困っていたからだ。
一生に一度の記念として着物を着ようと大宣伝を繰り広げた。
雑誌やテレビなどを利用して、徐々に浸透させていった。

自分で金を払うなら馬鹿馬鹿しくて相手にされなかっただろう。
巧妙なのは、親や祖父母に払わせる戦略を取ったことだ。
子供や孫のためなら、財布のひもは緩む。
新成人も、自分の懐が痛まないなら異存のあろうはずもない。

一定割合が着物を着るようないなると、抵抗はしづらくなる。
やはり着物を着たほうが豪華なのは間違いがないから。
ただのスーツでは、貧乏たらしい。

こうして、しっかりと商売のタネにされてきたのだ。

批判する声もなくはなかった。
過度に華美すぎる、金のかけ過ぎだ、経済格差を協調するなど。
「成人式には質素な服装で」という自治体もあった。
だが、着物業者にとっては死活に関わる問題。
禁止しては着物業者が立ちゆかない。
伝統文化を守るためという理由付けも加わって容認されてきた。

私は「成人式には着物」という同調圧力は問題だと思っている。
冷静に、よく考えるべきだ。
滅多に着ることもない服に大金をかけることの是非を。
価値観の問題だから、どうしても着たい人は着れば良い。
ただ、ビジネススーツで参加、でも全く問題ないと思う。
むしろ、親に過剰な負担を掛けさせなくて、すがすがしい。

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同じ構図は卒業式でもある。
息子は今年大学卒業。
びっくりしたのは「アカデミックガウン」なる代物。
これも伝統でも何でもない。
たぶん、どこかの欧米の大学のまねごとであろう。
私が大学を卒業した時には影も形もなかった。

誰かが、これを商売にすることを考え出したのだ。
そして、宣伝を繰り返して少しずつ浸透させた。
親に金を払わせるという戦略は成人式と同じだ。

今ではほぼすべての卒業生がアカデミックガウンを着る。
業者の戦略は大成功である。
うーん。なんだかなあ。
ここにも同調圧力が働いていて、不快だ。

共通しているのは親心を食い物にしている点。
日本社会にありがちな同調圧力を利用している点。
商売のにおいがプンプンして、私は眉をひそめてしまうのだが。

(2018. 1.12)

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