川本眼科

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院長のつぶやき

院長のつぶやき東北沖大震災

マグニチュード9.0の巨大地震でとんでもないことになった。

3日経った段階でみると今回の地震は2つのことで長く記憶されそうだ。

「大津波で三陸を中心とした太平洋岸の市町村が壊滅的被害を受けたこと」

「福島原発で炉心溶融という重大事故がおこったこと」

そういう意味では「東日本大震災」より「東北沖大震災」のほうが呼称としてふさわしい。東日本というとどうしても東北より関東(首都圏)が主体というイメージだから。

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津波は天災で事前の対策も限られる。

これだけ広範囲だと瓦礫の下の捜索にも手が回らない。できる範囲のことをするしかない。

ただ、建物の屋上で救助を待っている人は早く助けてあげたい。

日本にはこんなにヘリコプターがあるのだからもっと何とかならないかと思う。

報道用のヘリを救助に回せという議論には無理があるらしい。

でも、報道するより先に助けてやれよ、というのは素朴な心情ではないか?

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原発事故は人災の色彩が濃い。

ECCS(緊急炉心冷却装置)は非常時の最後の砦だったはず。ECCSがあるから炉心溶融はありえない、と説明されていたのではなかったか?

4基あったECCSがすべて故障して動かなくなったってお粗末過ぎる。1説によると燃料となる重油タンクが津波で流されたそうで「想定外」だそうだ。そんなこと想定しとけよ!

原発事故は確率計算上非常に可能性が低いというのがよく宣伝されているが、それはすべて「想定内」の事故がおきる確率を示すものだ。「想定外」の事故は確率計算に反映されていない。

そして実際に起きる事故はたいてい「想定外」なのだ。つまり公表されている確率は当てにならない。

本来は事故がおきるとして対策を考えておかなければならなかったのだ。それなのに「ありえない事態」にはもともと対策が立てられていない。

そもそも、宿命的に地震が多い国にこんなに原発を作ること自体が無理だったということだろう。

原発事故による汚染の深刻さは二酸化炭素による温暖化の比ではない。環境問題への対策として原発を推進するのはもともと無理だった。事故の危険性も環境汚染の危険性も承知の上で、経済的な有益性がリスクを上回ると言えるのか、十分な検討が必要だと思う。

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原発がみな停まり東日本では停電が避けられないそうだ。

政府は国民に節電を呼びかけている。

ただ、東日本は50Hzで西日本は60Hzで、周波数変換設備の容量が少なくて西日本からはわずかしか送電できないのだという。名古屋や大阪で節電しても無駄ということかな?

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今日は名古屋市市議会選挙で「減税日本」が過半数を取るか注目されている。

だが、どう考えても減税だけを訴える能天気な政治状況ではない。

減税する金があるなら被災地の支援に回したほうがよいのではないか?

当座の救援や生活支援にもお金は必要だしインフラ再整備にはさらに莫大な金がかかる。

国としても将来の増税は不可避だろう。

子供手当だの高速道路無料化だの無謀なバラマキも即刻やめてもらいたい。

お金を集めて必要な所に使うのが政府の役割で、行政サービスを縮小して集めた税金をばらまくのは本末転倒だ。

(2011.3.13)

院長のつぶやき何でも謀略で説明する奴は信用するな

世の中に「謀略論」は多い。

インフルエンザワクチン反対派はメーカーが儲けるための謀略だと主張する。

子宮頚癌ワクチンもメーカーの謀略だそうだ。

感染症そのものを謀略と言い出す人も必ずいますな。

昔、オウム真理教も破壊活動を米軍の謀略と攻撃に対する抵抗だと正当化していた。

信者をサティアンに閉じ込めていたのは米軍の毒ガス攻撃から身を守るためだったそうな。

医師もそういう類のいわれのない非難を受けることがある。

医師同士はみんな裏でつながっていて口裏を合わせている、とか。

教授が汚い手を使って学閥支配、患者はモルモット・・ってドラマの見過ぎ。

古くはユダヤ人謀略説があった。政治も経済もユダヤ人が裏で操っている・・

ユダヤ人に対する反感がホロコーストの遠因となった。

もっとも今のイスラエル諜報機関の活動は謀略に近い感なきにしもあらずだが。

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謀略論というのは便利だ。

元々が無理な理屈はすぐ矛盾が出る。事実と合わない点が出てくる。

あるいは常識に照らしておかしいと感じられる。

そういう場合でも、謀略のせいにすればたいていのことは説明がついてしまう。

だから、鋭い指摘を受けて反論できない人はすぐ謀略論を持ち出す。

誰かが謀略を仕掛けていると信じさせれば、後は何でも説明可能にになる。

謀略論は「超便利」なのだ。

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逆に言うと、謀略を言い出した人の言うことは信用しない方がいい。

99%まで、論理の破綻を隠すためだからだ。

(2011.3.3)

院長のつぶやきADR(裁判外紛争解決手続き)

ADRとは、裁判によらず第三者が間に入って紛争を解決しようとする方法をいう。

Alternative Dispute Resolution の略。

もともと裁判がやたらと多い米国で生まれ、発達した制度である。

日本では2004年に「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」ができた。

法律で認証された紛争解決事業者があっせん、調停、仲裁を行う。

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医療分野の認証事業者としては「特定非営利活動法人 医事紛争研究会」がある。

ただ、ここは千葉県にあるから愛知県の人間が利用するのは難しそうだ。

愛知県だと「愛知県弁護士会」くらいしか見あたらない。

裁判には金も時間も労力もとんでもなくかかる。ADRなら安く早く解決してくれそうだ。

問題は実績に乏しいこと。医療の知識は十分か、本当に公平中立なのか。

誰しも不安を感じるだろう。不安だと依頼しない。依頼がないと実績が積めない。

今のところはまだそういう状態にあるが、今後に期待したい。

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医事紛争で問題なのは、損害賠償でお金がからむことだ。

ADRで当事者の合意が得られても、保険会社が支払ってくれる保証がない。

保険会社は、会社を通さずに勝手に和解した場合は保険金を支払わない。

ということは、保険会社が事前にADRの結論に従うと同意していることが必要になる。

交通事故に関しては実際にそういう仕組みができているという。

交通事故紛争処理センターの結論には損害保険各社とも従うことになっているのだ。

残念ながら医事紛争ではそういう仕組みになっていない。

つまり、多額の賠償責任がからむ医事紛争でADRを利用するのは無理がある。

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医療法で「医療安全支援センター」というのが全国に設置されている。

苦情や相談程度ならここが一番使えそうだ。

でも、損害賠償請求となるとやはり裁判しかあるまい。

(2011.2.22)

院長のつぶやきエジプト政変と憲法

エジプトで政変があり、2月11日ムバラク大統領が辞任した。

現行憲法では60日以内に新大統領を選ぶことになっていた。

しかし、立候補制限など現行憲法には問題があり、野党勢力や国民が納得しない。

そこで超法規的に現行憲法は停止され、新憲法を作った上で大統領選をするらしい。

このニュースに、日本の憲法の場合どうなるか考えた。

日本国憲法は極めて厳格な改正手続きを定めている。

衆議院・参議院ともに総議員の3分の2以上が賛成して憲法改正が発議され、国民投票にかけられて過半数の賛成で成立する。

これは無茶苦茶ハードルが高くてほとんど憲法改正を禁止しているに等しい。

しかし、民主主義の原則から言えば、「国民の過半数の支持」こそ最高規範のはずだ。

国民投票で過半数を取れば「旧憲法を廃止し、新憲法を制定する」ことは可能なはず。

つまり改正でなく新憲法制定なら国会の発議は要らない。

そもそも今の日本国憲法の制定過程にも問題が多いことは昔から指摘されている。

「欽定憲法から改正した体裁」とか「当時の米国の意向が強く反映」とか。

制定過程に問題があっても国民が支持している限りにおいて憲法は権威を保つ。

逆に、国民が明確な意思を示せば3分の2以上などという規定は意味がない。

「現在の国民」が最終的に過半数の賛成で示した意思を否定することを許せば、民意が国家統治のあり方を決めるという民主主義の根幹を否定することになるからだ。

こんなことを書くと、日本では「護憲派」から抗議や攻撃を受けそうだが。

ちなみに私は「憲法第9条」を現状のまま維持することに賛成だ。念のため。

(2011.2.16)

院長のつぶやきバレンタインチョコ

今年も2月14日はやってきた。やや下火のバレンタインデー。

昔のように義理チョコをばらまく人はいなくなった。本命にしかあげないらしい。

今流行は女の子同士の友チョコだとか。娘もいくつももらってきた。自分はあげずもらうだけ。

私も若い時は結構たくさんもらえたが、今はダメだ。

患者さんでチョコを下さる方も昔はいらっしゃったが、ここ数年は皆無ですな。

もちろんたくさんもらったって食べきれないし、本当はチョコよりせんべいのほうが好き。

それでも、もらえないとちょっと寂しい。

ただ、義理堅いスタッフは院長に気を遣って毎年毎年連名でチョコを下さる。

ありがとう。おじさんに対する殊勝な心がけです。

夜、貴重なチョコをかじる。うん、美味。(^o^)

来年もちゃんともらえるように、お返しの食事会を忘れないようにしないとね。

(2011.2.14)

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