川本眼科

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院長のつぶやき

院長のつぶやきイレッサ副作用問題と無過失補償制度

イレッサ問題での和解を政府が拒否した。菅首相が最終的に判断したようだ。

イレッサの副作用で苦しんだ患者・家族の方々はお気の毒だが、しかしこれは妥当な判断だと思う。

この薬は抗癌剤だ。当然、ある程度副作用は覚悟せざるを得ない。

たとえ副作用で死者が出ても、治療効果が高く相当な延命効果があれば、その薬は必要だ。

問題になったのは間質性肺炎をおこすという副作用。治験段階でもそのことはわかっていた。

だから、薬の添付文書にも「重大な副作用」として記載されていた。

裁判所は「この記載が最後の4番目だったので重要でないと読まれる可能性があった」と言う。

これはさすがに無茶苦茶な理屈で、「重大な副作用」を重要でないと思う人はいないのではないか。

そもそも間質性肺炎は死に至ることもあることは医師なら知っている。

記載順序は臨床試験段階での頻度を反映したものだろう。間違っているとは言えない。

頻度が高いことを先に書くべきか、重大な結果を招くことを先に書くべきか、簡単には決められない。

例えば妊婦さんへのパンフレットで「母児ともに死ぬことがあります」とトップに朱で大書すべきか。

白内障手術で失明することなんてとんでもなく頻度は低いが「失明することもある」と強調すべきか。

認可の時点では間質性肺炎が重症化する率などはわかっていなかった。

記載の順序を問題にするのは無理な話なのだ。

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もし今回製薬会社や国の責任を認めてしまうと薬の認可に影響を与える可能性が高い。

薬が速やかに認可されないと薬を切実に必要としている人は困る。

認可・発売の時点で完璧を期すより、発売後に修正を加えていくことが現実的だ。

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裁判所が無理な理屈を持ち出したのはそうしないと患者救済ができないからだ。

医事紛争の裁判でも同じ理屈で患者救済のために医師の過失を認定する傾向が見られる。

「過失」を認定しないと患者は補償を受けられない。

だからと言って、無理やり過失を認定するのは別の問題を引き起こす。

解決策はある。無過失補償制度だ。

過失がなくても副作用はおこる。過失がなくても医療事故はおこる。

過失がなくても補償が受けられる制度設計が求められている。

イレッサの患者さんたちも、そういう枠組みで救済するのが正しい道だと思う。

(2011.1.29)

院長のつぶやき1万円以下のメガネってどう?

最近、7千円とか9千円とか、従来に比べると激安のメガネを見かける。

従来からの眼鏡店で売るわけではなく、「激安メガネ専売店」ができている。

こういうメガネは買って大丈夫なのだろうか?

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従来店で売るのはだいたいブランド物と考えればよい。

レンズならニコン、ホヤ、セイコー、東海光学などが多い。

フレームは選択肢が広く日本製と海外製が拮抗し、オシャレな製品も多い。

それを自由に組み合わせることができる。

激安店のメガネはそういうメガネではない。

あくまでも「激安店専用に作られたメガネ」で中国製が多い。

例えば100円ショップの商品を考えればよい。ほとんど100円ショップ専用商品。

確かにお得だがコストダウンしているから品質は劣るのは当然。

ただ、過剰な品質が必要ないならば良い選択だと言える。

少なくとも見た目はそれほど遜色ない。

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激安メガネのフレームは歪みやすいとか塗装が剥げるとか言われているようだ。

どうも、品質の良いものと悪いものと当たり外れが大きいらしい。

これは仕方がないように思える。値段が値段なので悪いものに当たるリスクもある。

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店員の質も問題だ。人件費だって削らなければ激安価格は難しい。

恐らく激安店ではベテランを配置するのは難しいのではないか。

経験・知識・調整技術に多くを期待すると裏切られるかも知れない。

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アフターサービスも普通は従来店のほうがよい。当然だろう。

そういう費用を削って安くしているのだから。

ただ、もちろんそういうことは人の問題、店員次第とは言える。

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結局、「それなり」「価格相応」という当たり前の結論に落ち着く。

「使い捨てのつもり」「仮のメガネ」「予備のメガネ」なら許せるのではないか。

(2011.1.26)

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