川本眼科

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院長のつぶやき

院長のつぶやきカラーコンタクトの虚偽表示問題

カラーコンタクト(カラーCL)はトラブルが多い。
これは眼科医の常識だ。普通のコンタクトの10倍くらい多い気がする。
理由は2つあると思う。

1つは、若い女性が正しい知識を持たないで無茶をする問題。
ネット通販で「安いが粗悪な」製品を買う。
定期検診を全く受けない。
ケアも自己流できちんとしていない。
友人に勧められて安易に手を出す。
「大丈夫だよ。簡単だよ。教えてあげるよ」
ただ、その友人も正しい使い方は知らない。危険千万。

もう1つは、着色剤がレンズ表面に露出している問題。
着色剤は角膜側に露出しても、まぶた側に露出しても、問題を起こす。
角膜のキズやら、アレルギーやら・・ 感染も起こしやすくなる。
だから、着色剤は露出していてはダメ。
着色剤が内部に封入され、外に露出していないものなら安全。
眼科医はそのように患者さんに説明してきた。

ところが、この点に虚偽表示が見つかった。
国民生活センターが2014年5月22日に発表した資料によれば、
調査した17銘柄中9銘柄のカラーCLが虚偽表示をしていた。
本当は着色剤がレンズ表面に露出しているのに「内部に封入されている」と。
嘘がバレた。
つまり、表示を信用するわけにはいかないということ。

着色剤をレンズの内部に閉じ込めるには技術が必要だ。
コストも高くなる。つまり、そんなに安いはずはない。
誰も知らないような会社の製品、あまりに値段が安い製品は、危ない。

もっとも、有名メーカーでも、安心とは限らない。
自社生産ならそれなりに基準があって、遵守しているはずだ。
しかし、カラーCLでは他社から仕入れて売っている場合もある。
自社できちんと検査していない可能性があるので、注意が必要だ。

なお、現在、川本眼科で処方している「ディファイン」は
国民生活センターの調査でも問題なかった。
「イルミネート」は今回の調査の対象になっていない。

個人的には、カラーCLは困った流行だと思っている。
現状だと、なるべく手を出さないことをお勧めする。
それでも使いたい方は、ぜひ、眼科医に相談して下さい。

(2014.5.25)

■参考:虚偽表示をしていたカラーCL■
 Ever Color 1day (アイレ、アイセイ/台湾)
 One day Aire REAL (アイレ/台湾)
 Eye coffret 1day UV (シード/台湾)
 L-CON aDAY pop (シンシア/台湾)
 FRESHLOOK DAILIES (チバビジョン/独・米・シンガポール)
 BeeHeartB MAry (メリーサイト/台湾)
 BAUSCH+LOMB NATURELLE (ボシュロム・ジャパン/アイルランド)
 2WEEK VUETY (アイレ/台湾)
 tutti VANITY Rich (PIA株式会社/韓国)
※国民生活センターの発表による

—————————————————-
●追記 2014. 5.29
 FRESHLOOK DAILIES についてメーカーが反論している。
 http://www.alcon.co.jp/docs/nc-press-release_140523.pdf

 ちなみに、チバビジョン社はアルコン社に吸収合併された。
 今はアルコン株式会社ビジョンケア事業部になっている。

 川本眼科にも担当者が2名で来訪し、いろいろ釈明していった。
 私のホームページをわざわざ読んでいるんだと妙に感心。

 着色剤部分で凹凸はなく、角膜障害は起こさないという趣旨。
 現在まで着色剤に起因する障害の報告もないと力説。
 ん? 発表文と担当者の説明が微妙に食い違うような・・

 発表文では「レンズ表面に色素が露出しない」
 これは、正面からの反論だ。でも主張だけで証拠がない。
 そのことを証明する実験結果が示されなければ説得力に乏しい。
 国民生活センターは電子顕微鏡写真を呈示しているのだから。

 担当者は「たまたま露出したとしても障害を起こさない」
 それって本当なのか? 他のレンズとはどう違うのか?
 今日の説明ではレンズ素材と色素が一体性が強力らしい。
 これも初めて聞く話。証拠の呈示が必要だと思う。

 アルコン社が信用を重んじるメーカーだということは認める。
 FRESHLOOK DAILIES が重篤な眼障害を起こしたという話も聞かない。
 得体の知れない弱小メーカーと一緒にされたことは同情する。

 でも、逆にアルコン社ほどの世界的大メーカーならではの責任がある。
 着色剤が絶対に露出しない製品を作ってほしい。
 アルコン社の技術力ならそれは可能なはずだ。
 「行政が医療機器承認した」で満足してもらっては困る。
 もっと高いレベルの安全性を追求する姿勢を、強く期待する。

院長のつぶやきSTAP騒動

STAP細胞に関するドタバタが続いている。

小保方さんは悪意がなかったから無罪だと主張する。
しかし、これは科学の世界では通らない。
論文が不正か否かに悪意の有る無しは関係ない。
批判をする者は事実と違っていることを指摘すればよい。
悪意を証明する必要はないのだ。

論文の根管をなす大事なデータが正しいものでなかった。
単純ミスだなどという言い訳が通るはずがない。
刑事裁判と違い、過失か故意かは論じても意味がない。
これは重過失であって、その責任は故意と同等なのだ。

科学の世界では発表した論文がすべてだ。
「未熟だった」「間違えた」「忘れた」
「やっていけないとの認識がなかった」
「重圧があった」「多忙だった」
「論文で批判を浴びたのとは別に正しい画像がある」
「200回以上成功しているがその実験ノートはない」
「私以外に成功した人もいるがその人の名は言えない」
これって、何にも言い訳になっていない。

論文とは仮説の証明だ。
様々な仮説がある。アイデアと言ってもよい。
たくさんの仮説の中で、証明されるのはごくわずかだ。
大多数の仮説は誤りだとわかったり、放棄されたりして終わる。

STAP細胞は興味ある仮説だ。
ただ、今回の論文は証明に失敗した。撤回するしかない。
これでSTAP細胞は仮説の段階に戻った。
証明するには、新たな論文を出すしかない。

「無いこと」を証明するのは困難だ。存在するかも知れない。
でも、仮説でしかないものは「あります」とは言えない。
そして普通「ある」と言えないものは「ないもの」と扱われる。

論文の正しさは他の研究者が追試に成功することで担保される。
STAP論文は、その通りにやっても誰も追試に成功していない。
論文として、このことは致命的だ。

まだ若いし、失敗は失敗としてやり直せばよいと思っていた。
ただ、どうもこの人は科学の作法をご存じないようだ。
派手なマスコミ発表や弁護団による反撃って何なんだ・・
土俵が『科学』ではなく、『雇用』や『世間』になっている。
法廷闘争と思えばおもしろいが、科学者の道は踏み外したようだ。

科学の問題としては、もう既に決着はついている。
あとは、週刊誌やワイドショー的な興味だけだ。

(2014.5.7)

院長のつぶやきSTAP細胞は夢幻に

STAP細胞の論文は取り下げが決定的のようだ。
論文の中核となる部分に疑惑が浮上し、明確な説明もない。
博士論文での流用やコピー&ペーストも次々に指摘された。
「科学の常識を覆す大発見」は大スキャンダルとなりつつある。
第三者の追試で再現できれば大逆転だが、恐らく無理だろう。

私は2006年に川本眼科だより80「論文の捏造」を書いた。
ここに書いたことは今でもほぼそのまま正しいと思う。

「捏造ではないか」とささやかれている論文は実に多い。
研究者の友人によれば「世界中に蔓延している」

ただ、大半は疑惑のまま放置されている。なぜか。
検証するには再現実験が不可欠だが、時間も金もかかるからだ。
そんなことばかりしていたら、自分の研究に支障をきたす。
だから、普通は誰も論文の真偽を正面から問うことはしない。
マイナーな領域なら捏造でも見逃される可能性が高い。

今回は「革命的な大発見」だっただけに事情が違った。
多くの研究者が追試した。徹底的に論文のアラを探した。
その結果、通常ならバレるはずのない不正が次々に発見された。

Natureに載せたくて必死だったのだろう。
「泣き明かした夜も数知れず」も本当だったろう。
研究者は、結果が出ないとき、その苦しさは半端でない。
強いストレスに晒されていた。
能力以上に背伸びすることが求められていた。
自分の知り合いの研究者の状況から、それなりに想像はつく。
いろいろ事情は忖度することができる。

捏造は許されない。そのことだけは間違いない。
当分の間、叩かれまくって大変だろう。
小保方さんには、地道な研究に立ち戻ってほしい。
研究者はスターになる必要はない。研究成果がすべてだ。
捲土重来を期せばよいではないか。
次こそ誰にも文句の付けようのない業績をあげてほしい。

(2014. 3.13)

院長のつぶやき甥が東大合格

今日、甥が東大理科三類に合格した。
おめでとう!
義弟も東大医学部卒で、名古屋で整形外科を開業している。
親子で同窓となったわけだ。私と息子とも。

長期にわたる努力が報われたものと思う。
大学に入ったら、青春を謳歌してほしい。
自由を満喫できるモラトリアム期間はほかにない。
多くのことを経験し、失敗もしてみればよい。

目の前には無限の可能性が広がっている。
大学合格はゴールではなくスタートだ。
若者の未来にエールを送る。

(2014. 3.10)

院長のつぶやき院内Wi-Fiの設置

お断り】 Wi-Fiについての解説はしていません。                
   言葉自体を知らない方にはチンプンカンプンかも知れません。

 

患者さんの待ち時間対策として、院内にWi-Fiを設置した。
通信速度が速くなるし、パケットの制限も回避できる。

大変だった。甘く考えて始めたが、何度も立ち往生。
簡単にできる場合はあるのだろうが、一度つまづくと苦労する。
セキュリティ問題、固定アドレスの衝突など問題山積。
ハッカーに自院のパソコンの中身をのぞかれても困る。

最初はNTTのDoSPOTというサービスを使うつもりだった。
ところが、当初の目論見では上手くいかないことが判明。
業者任せにするつもりが自分でやらなければならない羽目に。

紆余曲折の末、そのままでは難しいと結論。
セッションを追加してプロバイダー契約を新たに結んだ。
これで既存のLANとは別々になり、情報漏洩の心配もなくなる。

結局、1ヶ月ばかり悪戦苦闘したことになる。

採用したのはFREESPOTというサービス
https://www.freespot.com/
無料で使えるようにしてある。

機種を問わず、いろいろな機器でつかえるのが特徴だ。
パソコン、タブレット(iPadなど)、スマホなど何でもOK。

院内に接続の仕方を書いたパンフレットを用意した。
接続すれば、後は画面の表示に従うだけ。
原則として「メール認証」という手続きが必要。
(機器によっては必要ない)
1回認証してしまえば2回目からはすぐつながる。

自分でiPadによる接続を試みた。
私自身は簡単にできた。難しくはないと思う。

ただ、2階に無線ルーターを置いているので電波が弱い。
確認したところ、受付前、診察室前は問題ない。
視力計よりも奥には電波が届いていないようだ。
近い将来、LAN配線工事をして機器を1階に移設する予定。
それまでは場所を選んで使って下さい。

無線を使っているので情報が漏れる心配はある。
インターネットへの接続なら何ら問題ない。
厳重に秘匿が必要な重要メールの送信はお勧めしない。
こんなところで極秘メールを送る人もいないだろうが。
神経質になりすぎる必要はないと思う。
携帯電話だって危険性は同じなのだから。

せっかく苦労して設置したWi-Fiなので、
どうか大勢の方に使っていただきたい。

(2014. 3.2)

院長のつぶやき

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