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川本眼科だより

川本眼科だより 113捨てる!! 2009年7月31日

みなさんはも「捨てる」ということに苦労した経験はありませんか? 私はものすごく苦労しています。ほとんどノイローゼになりそうです。

いろいろ工夫はしていますし、捨てる方法についての本も何冊も読んでみましたが、いまだ根本的な解決策は見つかっていません。

もったいなくても捨てる!

実は私はケチで、ものが捨てられない性格です。

空き箱やら紙袋などいつか役に立つかも知れないと思って取っておいて、さんざんため込んだあげくにある日大量に捨てる羽目に陥ります。同じことを性懲りもなく何度繰り返したことか。

確かに役立つこともたまにはあります。しかし冷静に考えると、何ヶ月も何年も大きな空間を占拠されるくらいなら必要な時に箱や袋を買ったほうが賢いでしょう。

古いオーディオ機器や古いコンピューターなども、もったいないと思い(高かったんです!!)、10年も20年も保管したあげくに結局使わないまま最近大量に廃棄しました。馬鹿ですね。

機械に関しては、改良された新しい機種が安く容易に入手できるなら、古い機械の出番はまず絶対にありません。時間が経てば経つほど古い機械は価値がなくなります。

さすがにケチな私も学習し、こういったものはなるべく早めに捨てようと思います。もったいなくても捨てるべきなのです。

ただ、ある意味、こういうものは捨てるのが容易です。必要か不要か判断しやすいし、もし万一将来必要になったら買えばよいからです。

紙の情報に埋もれて

捨てにくいのは『情報』です。捨ててしまうと代わりを手に入れることができないので、なかなか気軽に捨てられないのです。

毎日毎日、大量の文書が郵送され、配布され、ファックスされてきます。医師会から、眼科医会から、各種学会から、厚生労働省から、アイバンクから、薬剤メーカーから、多種多様な文書が送りつけられます。

原則は「重要な情報は取っておき、不要な情報は捨てる」です。当然すぎるこの取捨選択が実は難題です。重要かそうでないかは文書を受け取った時点では必ずしもわからないのです。

何ヶ月も経ってから大事な通達だったことが判明することがあります。執筆をするとき大昔に読んだ資料が欲しくなることがあります。2~3回そういう経験をすると即座に捨てるのが怖くなり、選別は後回しになります。後回しと言っても後日あらためて見直すことは普通ありません。その結果、紙の文書はたまる一方です。

ほとんどの書類を捨てずに取っておくと、要らない情報ばかり増え、本当に重要な情報が埋もれてしまいます。目的の情報を探し出すには片っ端から見ていくよりなく、見つけるのに半日以上かかることも珍しくありません。時間をどぶに捨てているようなものです。

電子文書化は時間の無駄

紙の文書は場所を取ります。これをコンピューターの中に電子文書として収納し、紙は捨ててしまおうというアイデアがあります。

なかなか魅力的なアイデアです。スキャナーという読み取り機で画像データにします。ファックスと同じ原理です。さらに画像データを文字として認識するソフトウェアによりワープロなどで扱える電子文書データに変換します。部屋を埋め尽くすほどの大量の文書でも小さなハードディスクに格納できてしまいます。

電子文書になれば検索も高速です。いくら大量の文書でもたちどころに目的のものを探し出すことが可能です。例えば新聞各社は過去の記事をすべて電子文書のデータベースにしているので何十年も前の記事でもすぐに見つけられます。

しかし、紙の文書をスキャナーで読み取り、さらに電子情報に変換する操作は自動化できていません。どうしても人間の関与が必要です。とくに文字認識する時に誤変換がおこるので人間が修正してやらなければなりません。つまりものすごく手間暇がかかるのです。

大事なものなら手間暇かけますが、ほとんどの文書は一定期間過ぎれば不要になります。大半が将来不要になるのにすべて電子文書化しようとして時間を費やすのは馬鹿げています。

本当は最初から紙の文書でなくメールのような電子文書で提供してくれれば手間暇かけずに済むのですが・・。電子文書なら捨てずに全部残しておいても何の問題もありません。

ビデオの始末

ビデオの始末も困りものです。

手術のビデオ記録が簡単にできるようになり、私も自分が執刀した手術ビデオをたくさん持っていました。恩師や先輩の手術を記録したビデオもいっぱいありました。

ほかにも講習会の記録ビデオやら、メーカーが薬や医療機器の解説のために作ったビデオやら、もちろんテレビ番組の録画やら、いつの間にかビデオは数百本に増えていました。

ビデオをDVDにダビングしてやればスペースを節約できます。少しやってみましたが、ダビングには1本1本かなりの時間がかかるのです。しかもビデオからDVDに代わったと思ったらもう次はブルーレイに代わると言われていて、手間暇かける価値があるかどうか先行き不透明です。

結局3割ほどは捨てましたが、まだ大量のビデオが残っていてどうするか思い悩んでいます。

年数が経ったら捨ててよい?

捨てることの方法論を書いた本には「○年経って使わなかったものは捨てる」という提案が必ず載っています。確かに、長い間使わなかったものは今後も使わない可能性が高いとは思います。

しかし、逆に「捨てないで取っておいてよかった」という経験も私はたくさんしてきました。開業時の申請書類は5年後医療法人化したとき必要になりました。川本眼科だよりの原稿を書くために20年前の資料が役立ったこともあります。機械的に期限を区切ることはやっぱり危険です。

それに人間には感情があります。想いが詰まったものは捨てられません。自分が初めて手術した時の記録ビデオなど誰の参考にもならないし、自分でもひょっとしたら二度と見ないかも知れないのですが、それでもやっぱり捨てられません。

これからも悩み続けます

私は昔より捨てるようになりました。長期間残しておいたものをたくさん捨てています。でも、どういう基準で捨てるものを選別するのか、いまだにわからず右往左往しています。きっと、これからも捨てるか残すか悩み続けると思います。

みなさんはどうされていますか?

2009.7