川本眼科

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川本眼科だより

川本眼科だより 192コンタクト新規処方中止 2016年1月30日

昨年よりコンタクトの新規処方を中止いたしました。いろいろ考え、悩んだ末の決定です。

この件に関してお問い合わせをいただくことも多いので、中止に至った事情をご説明したいと思います。

川本眼科の混雑

川本眼科を受診される患者さんは年々増えています。特に、白内障・緑内障・加齢黄斑変性症・糖尿病網膜症の患者数が増加しています。そのために白内障手術は4ヶ月待ちになってしまっていますし、緑内障で視野予約は取りづらくなっていますし、網膜疾患で硝子体注射を受ける方はうなぎ登りに激増です。

大勢の患者さんが受診して下さることに診療所の経営者としては感謝しなければなりませんが、外来の混雑でご迷惑をおかけしていることも事実で、2時間待ちなんて困った事態が頻発します。

受診間隔をあけたり、説明内容を見直したりしてきましたが、なかなか根本的な改善にはなりません。なんとかする必要に迫られていました。

コンタクト受診者の意識

コンタクトを目的として眼科を受診する方には患者意識は希薄です。むしろ「コンタクトを買いに来た」という消費者感覚ですから、長時間待たされることは我慢できず、強い不満を覚えます。

では、コンタクト受診の方を優先して待ち時間を短くすればよいのでしょうか? でも若くて元気でほとんど異常がない方を、高齢で体調も悪くて眼科的に重症の方より優先するのは、倫理的に正しいとは思えません。

コンタクトの入手は容易

川本眼科では、眼科診療全般をできるだけオールラウンドにこなしていきたいと考えてきました。コンタクトは眼科診療の重要な1分野で、ニーズもあり、決して軽視はしていません。

しかしながら、川本眼科でなくてもコンタクトの入手は容易です。眼科開業医のほとんどがコンタクトを扱っています。

駅前にもショッピングモールにもコンタクトの量販店はたくさんありますし、その量販店の隣にはコンタクト専業眼科があります。そういうところは仕事が終わった後の時間帯に受診できたり、土日に受診できたりして、便利です。何より待ち時間が短いのが消費者としてのコンタクト・ユーザーには魅力的でしょう。量販店はコンタクトの品揃えも豊富です。

残念ながら、コンタクト・ユーザーの視点に立てば、川本眼科以外で作るほうがメリットが多いと認めざるを得ません。

最初だけ川本眼科

川本眼科の待ち時間が長すぎるために、コンタクトの定期検診で通院を継続していただいている方はかなり少ないのが実情です。

コンタクトの初回処方には相当な手間がかかります。眼疾患の有無の確認、コンタクト種類の選択、度数決め、フィッティング確認、装用指導等で1時間くらいかかってしまいます。その間ベテランの検査員がつきっきりで指導することになり、人手が足りなくなって他の患者さんをお待たせする大きな要因になってしまっていました。

それだけの手間暇をかけても、初回処方だけで以後受診されない方が多いという事態は深刻です。

本題から外れますが、そういう人たちは2回目以降どうしているのでしょうか? 量販店なら隣接眼科を受診するでしょうから少なくとも角膜や結膜の病変は見つけてもらえるでしょう。心配なのはネット通販に走る人。医師の診察を受けずに重大な病気になってからでは遅いのですが・・

コンタクトレンズ検査料

保険診療ではコンタクトを目的とした受診の場合「コンタクトレンズ(CL)検査料」を算定することになっています。

CL検査料には摩訶不思議な決まりがたくさんあります。コンタクト店隣接眼科の診療報酬を削減することが目的なので、強引で無理な決まりになっていて、一般眼科もその巻き添えを食ってしまっているのです。

例えば、一度でもCL検査料を算定すると、そのあと患者さんがコンタクトを使わず10年以上受診しなくても初診料は取れません!

CL検査料を請求すると他にどんな眼科検査をしても(眼鏡処方をしても、視野検査をしても)その診療報酬を請求できません。それはあまりにおかしいので無数に例外規定が設けられていますが、複雑すぎて訳がわかりません。

悪法も法だと思って従ってきましたが、こんな馬鹿げた決まりに診療内容を制約されることに耐えられなくなってきました。

コンタクト新規処方中止

コンタクトを扱わなければ、そのために費やしていたマンパワーを他の疾患の患者さんに振り分けることができます。コンタクトの患者さんも減るわけですし、外来の混雑緩和につながります。

また、コンタクトを扱わなければCL検査料に縛られる必要もありません。

川本眼科がコンタクトを扱わなくても他にいくらでも受け皿があるのでそれほどご迷惑をおかけすることもありません。

ただ、長い間コンタクトのために川本眼科を受診し続けていらっしゃる方は、当院を信頼して下さっているわけで、信義上もいきなり取扱い中止というわけには参りません。コンタクト受診中の方には継続処方することにいたしました。

以上がコンタクトの新規処方を止めることにした理由です。

新規処方中止以後の状況

コンタクト受診中の方には継続処方しているので目立った混乱はなかったのですが、せっかく来院されたのに張り紙を見て帰られた方、受付でお断りした方には申し訳ありませんでした。

ホームページのコンタクト関連部分の書き換えを忘れていて、クレームが1件ありました。

外来はコンタクト以外の患者さんが増えていて、思ったほど混雑が緩和していませんが、中止しなければもっと混雑していたと思います。

コンタクト業者の訪問は減り、新製品などの情報は入りにくくなりました。同じコンタクトを使い続けるぶんには関係ありませんが。

今後も従来通りコンタクトに関連した眼障害への対応はいたします。どうぞご相談ください。

(2016.1)