川本眼科

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川本眼科だより

川本眼科だより 214トイレ問題 2017年11月30日

たかがトイレ、されどトイレ。ふだん、あまり大っぴらに語ることがためらわれるトイレ問題ですが、やっぱり無くては困りますし、隠れた悩みをお持ちの方も多いようです。

川本眼科ではトイレの増設が長年の課題でしたが、隣の土地を手に入れましたので、近い将来に実現しそうです。今はいろいろと計画を練っている段階なのですが、トイレをどうするか悩んで、いろいろ調べましたので、今回はトイレ問題を取り上げたいと思います。

男女別々か男女共用か

日本では、公共のトイレは男女別々が当たり前です。でも、そうではない国もありますし、実は男女別のせいで困っている人もいるのです。

北欧では、十分なスペースがあっても、男女共用の個室トイレをたくさん並べるという方式が普及しているそうです。これは実はとても合理的だと思います。そもそも男女がいつも同数いるわけではありません。一般的な男女別だと女子トイレばかり長い列になってしまうことが多いのですが、男女共用ならそういう問題が生じません。

新幹線や飛行機のトイレが男女共用なのは、限られたスペースを効率よく運用する必要に迫られたからと言えそうです。

また、LGBTと呼ばれる人たち、性同一性障害の人たちは、男女どちらのトイレにも入りにくい場合があります。そういう人たち用のトイレを別に作った例もありますが、一般的にはそういう特別なトイレを設置する余裕はないのが普通です。

米国では、そういう人たちに対応するために、北欧方式を採用する例が出てきています。

女性専用にこだわる人は多い

しかし、男女共用トイレを嫌がる女性はかなり多く、会社に男女共用のトイレがあっても入らず、外に出かけてトイレを使うという人もいます。

理由は様々です。1つはサニタリーボックスで、男性が入ると思うと捨てにくいようです。心理的な抵抗感も大きいようで、盗撮カメラを仕掛ける人がいないか不安という女性もいます。

最も多い理由は、男性の入った後は尿ハネで汚れているから嫌だというものです。確かに、女性だけなら尿ハネ問題は起こりにくいでしょう。

尿ハネを防ぐには座るしかない

男性が立って排尿する場合、どんなに気をつけても尿ハネは避けられないようです。水面までの距離があれば必ずはねるのです。実験では、水面までの距離を12cm以下にすればはねないそうです。つまり、座って排尿するしかないのです。

座って排尿するのは男の沽券に関わると考える方もいらっしゃるでしょうが、実は座ったほうが排尿後尿滴下(オシッコをした直後のちょび漏れ)を防ぎやすいというメリットもあります。そうでなくてもトイレットペーパーで拭いたほうが下着が汚れないですし。

以前NHKガッテンがこの問題を取り上げていましたが、床にも壁にも盛大に飛び散っている映像はかなり衝撃的でした。

男性は、立って排尿するなら、尿ハネで汚した便器リム(へり)や便座裏面だけでも拭き取るのが次の人へのエチケットだと思います。

泡で尿ハネを防ぐ

パナソニックがアラウーノという尿ハネを抑えるトイレを発売しています。便器の水面に泡を張り、泡が衝撃を吸収することで尿の跳ね返りを抑えるわけです。

ほかにも尿ハネ対策がしてあって、問題を解決しようという意欲を感じます。TOTOやINAXも同様の機能を取り入れて欲しいものです。

コンビニ方式

最近、コンビニでは2つの個室トイレを用意し、1つを女性専用、1つを男女共用にしていることが多いようです。

スペースを考えると個室トイレ2つしか作れず、それなら男女別にするよりは男女共用にしたほうが合理的なはずですが、女性専用トイレを求める声を無視できなくて、折衷案として採用されたのでしょう。これを男性差別だと怒っている人もいるようですが、「男女共用を嫌がる男性」は少ないのに対し、「男女共用を嫌がる女性」はかなりいますから、仕方ないと思います。

川本眼科のトイレ増設計画

現在、川本眼科のトイレは多目的トイレ1つだけです。車いすの方と介助の人が一緒に入れるだけの広さを確保し、身障者も一般の方も使う男女共用トイレになっています。同じスペースに普通の個室トイレ2つにすることも可能だったのですが、医療機関としてはバリアフリーを優先するのがあるべき姿だと思ったのです。

やってみると、覚悟の上とは言え、やっぱりトイレ1つだけでは足りませんでした。

将来増築するときには最優先事項としてトイレを増設いたします。そうは言ってもスペースの制約があるので、コンビニと同様に、女性専用と男女共用を1つずつ増設しようと思います。現在の多目的トイレも残すので、個室3つあれば数としては十分でしょう。

洗浄便座

ウォシュレットのような洗浄便座も公共トイレでは賛否両論です。この洗浄機能なしでは生きていけないという人もいますが、一方で昔ながらの紙派も多く、公共トイレの洗浄便座は汚れていそうだから使いたくないという人もいます。

結局、どちらの要求も満たすには、洗浄便座もトイレットペーパーも両方用意するしかなさそうです。

手を乾かすには

ペーパータオルかハンドドライヤーかという問題もあります。

ペーパータオルは紙を切らさないよう補充する手間が大変で、維持費がかかり続けます。ゴミ箱があふれて汚らしくなるのも悩みのタネです。

ハンドドライヤーならそういう問題がなく、設置費用はかかりますが(機種により3~20万円)、維持費はタダみたいなものです。

管理する側にとってはハンドドライヤーのほうが楽なのですが、乾燥に時間がかかりすぎるのが難点です。手もみ温風式で40秒、ジェット風式で10秒だそうですが、完全に乾燥させるにはもっと時間がかかる印象です。待ちきれなくて乾燥が不完全なまま出てくる人が多いのが実情です。

水滴が周囲に飛散するのを不衛生と考える人もいます。でも、それで感染が起こったという報告はなく、過剰に心配する必要はなさそうです。

(2017.11)