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川本眼科だより

川本眼科だより 268半自動運転 2022年5月31日

目の病気に関する話題が続きましたので、今月は趣を変えて自動運転のお話です。実際に試してみて相当な感銘を受けたので、その経験をご報告しますね。

ドライバー異常時停車支援

2015年にスバルのレヴォーグを買いました。当時は車高の高い車が人気で、セダン並みの車高のワゴンは他にほとんどありませんでした。それに、衝突回避の自動ブレーキテストで最高評価だったのです。

レヴォーグの新型が発売されたときも、当初は乗り換える気などなかったのですが、気になったのは「ドライバー異常時停車支援」でした。万一運転中に意識を失っても、車がそれを検知して自動的にハザードランプをつけながら減速・停車するというものです。高速道路走行中に体調異常を起こしても命が助かるかも知れません。

もちろん運転中に意識を失うのはそう頻繁に起きることではありません。でも、脳梗塞や心臓発作以外でも、血管迷走神経反射や睡眠時無呼吸症候群など比較的頻度が高い失神原因もあります。

交通事故では、運転手の意識障害は事故の結果と判断されてしまうのが普通です。それに事故で強い衝撃を受けると記憶は飛んでしまいますから、証言もありません。前方不注意などと処理されている交通事故の中に、運転手が失神したケースもあるに違いありません。

特に60歳を超えると体調異常を起こしやすくなることは間違いありません。この機能を知って、普段は財布のヒモが固い家内も買い替えに賛成してくれ、2021年2月新型に替えました。

脇見・居眠り運転防止機能

レヴォーグは運転手の目線を常にモニターしています。もし脇見をすると車が警告します。もちろんサイドミラーを見る程度の短時間なら警告はしません。ただ、脇見でなくてもカーナビを確認している程度でも警告を受けるときがあります。優しい女性の声ですが、「うるさいな、ちゃんと前を見てます」と言いたくなるときもあります。

もちろん、居眠りの時にもこの目線モニターが働くのでしょうが、実際に試してみたことはありません。

前項の異常時停車支援も、運転手の目線が前を向いておらず、警告しても直らない場合に異常と判断しているらしいです。

運転を任せるのが怖い

レヴォーグには、自動ブレーキや異常時停車支援のほかにも、事故や不測の事態に備えて様々な運転支援をしてくれる機能があり、その運転システム全体をアイサイトXと呼んでいます。

アイサイトXには、先行車に追随したり、車線中央を維持して走る機能があります。このときはアクセルを踏む必要はなく、ステアリングは自動で切ってくれます。ただ完全自動運転ではなく、目線は前を向き、両手ともステアリングに触れている必要があります。

この機能の存在は知っていましたが、1年以上全く使いませんでした。そもそも、機械に運転を任せるのは怖い気がしました。車と運転手が反対方向にステアリングを切ろうとして喧嘩するのではないかという心配もしました。(実際には原則として運転手の操作が優先されます) 事故を起こしたら誰が責任を取るんだ、と不信の目で見ていました。

それに、よそ見も手放しもできないなら中途半端だとも思いました。自分で運転したほうが機械より滑らかに車をコントロールできるという自信もありました。試しもせずに中途半端で役に立たないと決めつけていたのです。

車での旅行中に試してみた

ゴールデンウィークに 車で500kmくらい走りました。そのときアイサイトXの機能を試してみることにしました。せっかく付いている機能だし、一度は経験してみたほうが良いだろうと。

・・そしてアイサイトXの完成度の高さに驚嘆しました。今では何で最初からこれを使わなかったのかと後悔しています。

速度の変動が少ない

高速道路の運転で気をつかうのは実は制限速度を守ることだと思います。ちょっとしたアクセルの踏み加減ですぐスピード超過になってしまいます。途中上り坂も下り坂もありますから、同じようにアクセルを踏んでいるつもりでも速度が変動しやすく、アクセルの微妙な調整が必要です。長距離を走ると何時間もこれを続けなければなりません。

アイサイトXなら先行車にぴったり追走してくれます。車間距離は4段階のうちから選べます。先行車がいなければ設定した速度を正確に守り続けます。設定速度の変更も実に簡単で、道路状況に応じてどんどん変えましたが、加減速は穏やかで滑らかでした。

同乗した家内の感想も上々で、「運転が数段上手になった感じ」とのことでした。

自動で車線変更

驚くことに、高速道路上でウインカーを出すとレヴォーグは自動で車線変更してくれます。これが実に滑らか! いや、本当に運転が上手です。

車の4隅にはレーダーがついていて、周囲の車の位置を常にモニターしており、後続車が迫っているときには車線変更しません。これは人間様の車線変更より安全かも知れません。人間にありがちなステアリングを切りすぎて急いで戻すなんて挙動は皆無で、動きが自然で違和感が全くありません。大したものです。

夜の運転にお勧め

照明の少ない夜の高速道路を走るのは緊張します。正直怖いです。ハイビームで走れれば問題ないのですが、ほとんどの場合前方に車がいますし、対向車の姿も見えるので、ロービームで走らざるを得ません。

アイサイトXは夜間ロービームにしていても車線中央を保持して走ってくれます。挙動は安定していて安心感があります。素晴らしい!

条件が悪い夜の運転こそアイサイトXの出番だと思います。機械が得意な分野は機械に任せたら良いのです。これからは夜の運転がそれほど苦にならなくなりそうです。

(2022.5)