川本眼科

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川本眼科だより

川本眼科だより 269瞼のよもやま話 2022年6月30日

今回は瞼(まぶた)についての雑多な話題です。
1)まぶたの病気は何科に受診するかの話
2)緑内障の目薬がまつげ養毛剤になった話
3)目の下のクマの話
4)まぶたで吸収して小麦アレルギーをおこす話
5)花粉・果物アレルギーもまぶたが関係?

まぶたは何科で診てもらう?

まぶたにトラブルが起きたとき、何科にかかるか迷いませんか? 実ははっきりとは決まっていません。軽症ならたぶんどこでもとりあえずの対応はしてもらえるでしょう。

まぶたは眼科・皮膚科・形成外科・美容外科の境界領域です。まぶたも皮膚ですし、皮膚病変は皮膚科が専門ですが、結膜・角膜・眼圧などとの関連を考えるときは眼科が良いわけです。

例えば「まぶたが腫れた」という症状であれば、眼科でも皮膚科でも対応してくれると思います。川本眼科ももちろん診ます。ただ、まれに治りが悪くて長期化しているときに皮膚科受診を勧めることはあります。逆に皮膚科のほうから眼科に診察依頼が来ることもあります。あるいは全身のむくみの現れだと判断すれば腎臓や心臓の可能性もありますから内科受診を勧めます。

眼瞼下垂の場合はどうでしょう? 成人の眼瞼下垂の多くは、まぶたを持ち上げる筋肉が加齢により衰えた状態で、ひどくなると手術をします。ふつうは眼科で手術しますが、病院によっては形成外科が担当することもあります。軽症だと眼科では手術はしませんが、美容外科では患者さんが希望すれば美容的な意味で手術してくれるかも知れません。自費になってしまいますが。

緑内障薬がまつげの養毛剤に

緑内障の治療にビマトプロストという目薬が使われます。川本眼科でもたくさん処方しています。この目薬には「まつげが太く濃く長くなる」という副作用があります。

もともとは厄介な有害事象だったわけですが、これを「睫毛貧毛症」の治療に利用できないかと研究が進み、まぶたに塗るまつげの養毛剤グラッシュビスタとして売り出されるに至りました。

つけまつげやまつげエクステンションでは接着剤によるトラブルが多発しています。それに比べれば安全な方法だと思います。残念ながら永続的な効果はなく、使用を中止すれば元に戻ります。

なお、頭髪の薄毛に効果があるかどうかを調べた人は私の知る限りいないようです。

目の下のクマ

目の下のクマはなぜできるのでしょう? 複数の要因が関係していると言われています。

寝不足や疲労でクマが目立つのは、血流が悪くなっているせいです。対策は十分な睡眠ですね。温めるのは一時的には効果があるかも。「血流を良くするマッサージ」がネットや雑誌で紹介されていますが、効果はごくわずかでしかも一時的です。さほど意味があるとは思えません。

加齢に伴いクマが目立つのは、皮膚がたるんでくるのと、脂肪が薄くなって深部が透けて見えるからです。病気ではないので眼科では治療しません。美容外科ではヒアルロン酸注入や脂肪注入をするようですが、お金がかかるし長期的には加齢に抗うことは難しいと思います。

色素沈着も関係しますが主要な原因ではありません。予防は皮膚の紫外線対策です。

クマの下には目頭から頬に斜めに走る線ができます。若い人にもありますが、加齢とともに表情筋が痩せてくると目立つようになります。誰が言い出したのか、この線をゴルゴ線と呼ぶようになりました。ゴルゴ13という人気マンガを読んだことがある人ならすぐイメージがわきますね。

茶のしずく石鹸事件

「茶のしずく石鹸」が2千人以上に小麦アレルギーを引き起こした事件はご存じですか?

小麦アレルギーは通常はそれほど頻度の高い病気ではありません。ところが急に小麦アレルギーが増えました。それまで普通に小麦製品を食べられた人が、急にパンや麺類やパスタで重篤なアレルギーを起こすようになってしまったのです。

その原因はなかなかわかりませんでした。ある医師が患者さんはみな「茶のしずく石鹸」で洗顔していたことを発見しました。そしてこの石鹸には小麦を加水分解した成分が含まれていました。

この事件は食物アレルギーの考え方を大きく変えました。食事でいくらタンパク質を摂取してもアレルギーを起こすことはありません。しかし、皮膚から侵入したタンパク質には容易に感作され、いったん感作されると食べたときにもアレルギー反応が起きるようになるのです。食物アレルギーに関する長年の謎の多くが解けたと言います。

まぶたは皮膚の一番弱い部分です。手や足の皮膚には分厚い角層があり、外から異物が侵入しないようにできていますが、まぶたからは簡単にアレルゲンが侵入するのです。

この事件の教訓としては、石鹸や化粧品にやたらに添加物を使わないほうが良いということです。特に食物由来の成分が添加してあるものはアレルギーの点ではハイリスクです。今まで問題なく使えていたものを使い続けるのが無難で、あれこれと手を出すのは感作リスクを増大させます。

花粉が果物アレルギーを

シラカバの花粉はリンゴや桃のアレルギーを、ブタクサの花粉はスイカやメロンのアレルギーを起こします。その他にも多くの例があります。

花粉と果物には共通のアレルゲンが含まれているので、花粉が目や鼻から侵入して感作されると、果物を食べたときに唇や下やのどの奥が痒くなったり腫れたりします。時には喘息発作を引き起こすこともあります。

一般的には花粉の侵入経路は主に鼻粘膜だろうと考えられていますが、花粉症で痒くて眼を掻きむしっていると、まぶたの皮膚のバリアが破壊されてまぶたで感作される可能性があります。果物を食べるとまぶたが腫れるというケースの報告もあるそうです。

まぶたの手術の紹介先

現在、川本眼科ではまぶたの手術を実施していません。手術ご希望の方には下記の施設をご紹介いたします。

1.小出内科眼科医院
2.中京病院 眼科
3.愛知医大 眼形成・眼窩・涙道外科

病気の状態によりどこに紹介すべきかも変わってきます。ご相談ください。

(2022.6)