川本眼科

文字サイズ

小 中 大

川本眼科だより

川本眼科だより 11診察の順番 2001年1月31日

診察の受付だけすませて、ほかで用事をすませてきていいですか。
あとで来たはずの人に順番を抜かされて気分が悪い。待ち時間が長いのはしかたがないが、順番は守ってくれないと困る。
体調が悪くて長時間待てません。なんとかなりませんか。

お待たせして申し訳ありません

待ち時間が長くなっており、申し訳ありません。
検査するスタッフを増やすなどの対策を講じてはおりますが、結局のところ、医師が診察をしたりお話をしたりするのに時間がかかる以上、患者さんが集中すれば待ち時間が長くなること自体はどうしようもありません。
診療時の説明を簡略化することで待ち時間を短縮することも考えられるわけですが、これは患者さんの求めるところではないでしょう。某有名眼科では、医師は説明せず、説明はスタッフにさせているようですが、どうも不評のようです。

予約制の採用は難しい

待ち時間を少なくするための1つの方法は予約制にすることです。しかし、予約にするには、ものすごく混むときとがらがらに空いているときと波があって、前の患者さんの診療が伸びてもどこかで遅れを取り戻すことができることが条件です。

もし、時間に余裕がないと、遅れがだんだん積重なって、診療時間の最後には予約時間にみえた患者さんを1時間も2時間もお待たせすることになってしまいます。予約なのにこんなに待たせてけしからん、とお叱りを受けるのも当然です。中京病院の眼科がそういう状況で、予約制がうまく機能していないわけです。

また、予約制にした場合、予約なしでとびこみで受診された患者さんに対してどのように対応するのかも難しい問題です。レストランなら予約外
はお断りすればいいのでしょうが、医療機関ではそういうわけにはいきません。そもそも予約なしで受診する患者さんは、症状の悪化など、それなりに理由があることが多いのです。予約の合間を見つけて診察する、というのが予約制の医療機関がとっている方法ですが、合間がなければ結局予約の患者さんに御迷惑をかけるしかありません。
そんなわけで、川本眼科では、全面的に予約制を採用することは難しいと考えております。
現在予約にしているのは、メガネ処方、特殊な検査、レーザー治療、外来手術の場合です。時間がかかったり人手が必要なために時間を指定しているのです。この場合は、予約の患者さんが優先になります。

当日の順番取りは認めています

受付をしたら待合室で順番が来るのを待っていただくのが原則です。しかし、長時間待つことがわかっている場合、待ち時間の間によそで用事をすませてくるのをお断りする理由はありません。誰しも時間は有効に使いたいわけですから、むしろ当然のことだと思いす。

いったん、待合室から席をはずすことを認めると、とりあえず受付をしておいて順番を確保し、順番が来る頃におもむろに出かける、ということも可能になるわけです。つまり、順番取りですね。順番取りをする患者さんが多くなってくると、ふつうに受診をして、待合室で待っていらっしゃる患者さんから苦情が出るようになります。「あとから来た人に順番を抜かされた。どうなっているんだ」というわけです。

確かに、当院の近所にお住まいの方は順番取りができるのに対し、遠いところにお住まいの方は順番取りが困難です。そこにはどうしても不公平感が出ることは否めません。そこで、不公平感解消のために順番取りを認めないことも考えられます。しかし、事はそう簡単ではありません。

順番取りを全く認めない場合、診療開始時に患者さんが極端に集中してしまい、行列ができてしまったり、とんでもなく早い時間からお待ちになる患者さんが出現したり、待合室がひどく混みあうなど、いろいろ問題がおこります。

順番取りは、多少の問題はあっても、患者さんの受診時間の分散に役立っています。待合室の混雑を解消してゆとりが出るというメリットがあるのです。

最近では、午前に受診してすごく混んでいた場合、午後の診察の順番をお取りして、午後の診療にまわっていただく場合もあります。一般に、午後のほうがすいていることが多いからです。

そんなわけで、現在、当日の受診については、順番取りを認めております。御理解いただければ幸いです。

診療を優先する場合

診療の順番についてはみなさん敏感です。できるだけ順番を守り公平にと心がけております。しかし、いろいろな事情から順番通りにならないこともあります。
まず、緊急性のある病気です。例えば「網膜中心動脈閉塞症」という病気は、発症後40分以内に適切な処置をしなければ視力の大幅な低下が避けられず、失明の危険もあります。順番なんかすっとばして最優先で治療することになります。
検査をして眼圧が非常に高い場合など、医師が診察して処置の指示を出す必要があるときも先に診察します。医師の指示がないと次の処置ができないからです。点滴など約1時間かかるので直ちに開始する必要があるのです。
全身状態が悪くて、長時間待つことに耐えられない患者さんも優先です。スタッフが判断して対応していますが、なかなか判断が難しいところで、ほかの患者さんから苦情が出たこともあります。乳幼児もこれに準じて対処しています。
感染力の強い結膜炎も先に診察しています。院内感染の原因となるからです。もともと診察は短時間ですむので、大きな影響はありません。

あと、医者同士の診察も優先にしています。これは私が診察を受けるときも優先にしてもらっているからです。不公平のように感じられるかも知れませんが、医者が他院で長時間待たなければならないとすると、その間自院の患者さんをお待たせしたり休診にしたりしなければならず、結果として患者さんのためになりません。
それから、予約の患者さんは当然優先です。

診察順の表示装置

順番をはっきりさせ、どのくらい待てばよいのかわかるようにするため、診察順を表示する装置の導入を検討してきました。しかし、散瞳した場合としない場合では待ち時間が変わってきますし、医師を指名している患者さんの場合は順番が遅れることもあり、このように順番が入れ替わった場合にうまく対応できるような表示装置が見あたりません。表示装置を導入することが、かえって苦情や混乱の原因になる事態も想定されるので、いまだ導入に踏み切れずにおります。

2001.1