川本眼科

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川本眼科だより

川本眼科だより 249帯状疱疹ワクチン 2020年10月31日

帯状疱疹は50歳を超えると発症しやすくなり、80歳までに3人に1人が発症すると言われている病気です。発症後いつまでも強い痛みが残ることがあって厄介です。

現在、帯状疱疹を予防するワクチンが2種類使えます。今年発売されたシングリックスと、もう1つはビケンの水痘生ワクチンです。

申し訳ありませんが当院では接種していません。内科等でご相談ください。

誰でもかかりうる病気

川本眼科だより164「帯状疱疹と目」 で詳しく述べましたので、ここでは簡単に説明します。

水痘(水ぼうそう)はふつう子供の頃にかかって数日で治る病気ですが、治っても水痘ウイルスは体内に潜んでいて、過労・ストレス・免疫力低下によって再活性化し帯状疱疹を引き起こします。つまり、昔かかった水痘のウイルスが、何十年もたってから帯状疱疹を起こすのです。

水痘は感染力が非常に強いため、予防接種をしない限り人口のほぼ全員がかかると考えられています。その人たちは誰でも帯状疱疹を発症する可能性があるわけです。

帯状疱疹は50歳以上で発症率が急激に上昇し、80歳までに3人に1人がかかります。

後遺症が残りやすい

帯状疱疹が厄介なのは、後遺症が残りやすく、いつまでも強い痛み(後神経痛)に悩まされたり、ピリピリ、ジンジンと皮膚異常感覚が残ったりすることです。薬も良く効くものがなく、効果的な対処法がありません。

神経痛がいつまで続くかは様々で、数ヶ月から数年程度のことが多いですが、一生続くこともあります。また頻度は少ないものの、複視・視神経炎・急性網膜壊死・顔面神経麻痺などの重篤な眼合併症も起こることがあります。

水痘ワクチンの思わぬ余波

2014年に水痘ワクチンが1~2歳の小児を対象に定期接種となり、それまで3割程度だった接種率が9割以上に上昇しました。その結果、水痘にかかる小児は減少し続けています。みんながワクチンを打つようになると集団免疫が獲得され、水痘の流行そのものが起こらなくなりました。

しかしながら、皮肉なことに、水痘が流行しなくなると、今度は帯状疱疹が増加し始めました。なぜこんなことが起こるのでしょうか?

一度水痘にかかった人でも、水痘に対する免疫は年々弱まっていきます。しかし、水痘患者と接触すると再び水痘ウイルスに対する免疫が増強します。これをブースター効果と呼びます。水痘の流行が繰り返されることで、水痘に対する免疫を維持していたのです

ブースター効果が失われた結果、帯状疱疹は増えています。水痘ワクチンの思わぬ余波です。

帯状疱疹予防ワクチン

2016年から帯状疱疹予防を目的として50歳以上の人にワクチン接種が可能になりました。ワクチンは2種類あります。

シングリックスは2ヶ月間隔で2回接種します。予防効果97%と報告されており、有効性は長期間持続します。(何年続くかは現時点で不明)

ただ、副反応が多いのが問題です。注射部位に痛み、発赤、腫れが約3日続きます。それ以外に発熱・筋肉痛・頭痛・胃腸症状・疲労・アナフィラキシーなども起こることがあります。

価格も高く、1回約2万円かかります。名古屋市では接種費用を助成してくれるので、自己負担は1回10,800円です

ビケンの水痘生ワクチンは1回接種です。小児用の水痘ワクチンに成人の帯状疱疹予防の適応が追加されたものです。予防効果は50~60%とシングリックスに劣ります。しかも時間がたつと効果が薄れるので数年おきに追加投与が必要と言われています。副反応は少なく、注射も痛くないのですが、免疫機能が低下している人には接種できません。

価格は約8千円です。しかも1回接種ですからシングリックスよりはだいぶ安いです。名古屋市では助成してくれるので自己負担は4,200円です。

予防効果ではシングリックスの圧勝で、お勧めですが、副反応や価格を考えてビケンを選ぶ人もいるでしょう。

50歳未満はどうする?

実は水痘ワクチン普及後は50歳未満でも帯状疱疹が増加しています。しかし、帯状疱疹予防ワクチンは添付文書上50歳以上が対象になっています。抜け道はあって、ビケンなら「水痘予防」を目的として年齢に関係なく打てます。

ただ、発症率を考えれば、50歳までは早期に発見して抗ウイルス薬を投与、50歳になったらワクチンで予防、という方針でよいと思います。50歳にならないと、せっかくの名古屋市の助成も受けられませんから。

高齢者への予防接種

高齢者に対して、帯状疱疹予防ワクチン以外に、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンが推奨されています。

肺炎球菌は肺炎の原因の第1位とされています。肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は予防効果80%とされています。高齢者では肺炎は死亡につながりかねない危険な病気です。

インフルエンザにかかった高齢者の25%が重篤な細菌性肺炎にかかってしまうという報告もあり、死亡率も高いので、インフルエンザの予防にワクチンは打っておくべきです。

また、現在定期接種になっているワクチンでも現在の高齢者は接種されていないことがあります。麻疹、風疹、ムンプスなどです。高齢者では接種したかどうか記録もなく記憶も曖昧なことが多く、接種の確認は難しいのですが、未接種ならばワクチン接種が推奨されます。
(ワクチン接種は内科で受けて下さい)

(2020.10)