川本眼科

文字サイズ

小 中 大

川本眼科だより

川本眼科だより 98目薬の副作用(1) 2008年4月30日

目薬は、のみぐすりよりは副作用が少ないと言えます。一般的に安全性は高いと考えて間違いありません。それでも、副作用は皆無ではありません。目薬の副作用が今回の話題です。
 
今回はいろいろな目薬に共通しておきるような副作用の問題を取り上げました。次回は重大な副作用がおこることのある緑内障の目薬を取り上げる予定です。

防腐剤による角膜障害

目薬にはたいてい防腐剤が入っています。さしているうちまつげに触ったりして細菌が中に入るからです。防腐剤が全く入っていない目薬もありますが、封を開けたら約1週間で廃棄しなければなりません。
 
目薬の種類はものすごくたくさんありますが、防腐剤の種類はわずかしかありません。その中でもベンザルコニウムという防腐剤は強力なので、きわめて多くの目薬に使われています。すべての目薬の8割にベンザルコニウムが入っています。
 
ただ、ベンザルコニウムは強力な反面、角膜障害(=角膜のキズ)をおこしやすいのです。
もともと健康な角膜の人には何でもなくても、ドライアイだったり高齢だったり眼科手術後だったりすると、防腐剤が角膜に障害を与える原因となってしまいます。
 
この場合、角膜障害の治療に使われる目薬にも防腐剤が入っているのが厄介なところです。
対策は、防腐剤の入っている目薬をすべて中止し、防腐剤の入っていない目薬だけ使うことです。ただ、使える目薬がきわめて少なくなります。

目薬で目のまわりがただれる

目薬を使っていると、目のまわりがかゆくなったり赤くなったりすることがあります。これには2つの要因が考えられます。
 
第1に、目薬の成分によってかぶれる場合があります。アレルギーですね。要するに目薬が合わないわけです。
この場合は、合わない目薬をやめて別の目薬に変えればよいので、対策は比較的簡単です。

第2に、目薬でまぶたが濡れているため、細菌が増殖してトラブルをおこす場合があります。特定の目薬だけでなく、どんな目薬でもおこります。目薬でなくても涙があふれても同じことがおこります。
この場合は、あらゆる目薬で同じことがおこるので対策は厄介です。ふつう、まぶたに炎症止めの軟膏を塗ることで対処しますが、一時良くなっても軟膏を中止するとまたただれてしまうことになります。仕方なく、症状が出るたびに軟膏を塗ることになります。

しみる/刺激がある

目薬がしみる、というのもよくある訴えです。
しみるかどうかは目薬のpHによってほとんど決まります。酸性だったりアルカリ性だったりすればしみるのです。中性だとしみません。pHは変動することがあり、同じ目薬でも今日はしみるということがおこります。
 
また、角膜にキズがあると、しみたり痛くなったりすることが多くなります。多少しみても、ふつう目に害はありません。あまり気にしなくてよいでしょう。

充血する

目薬で充血することもよくあります。
しみたり刺激があったりすると、同時に充血もおこります。この場合は前項と同じことです。
 
血管拡張作用がある目薬も充血します。この場合は誰でも程度の差こそあれ必ず充血がおこります。ただ、これは目薬固有の性質で、心配しなくて大丈夫です。気にならなければそのまま放っておいてかまいません。どうしても気になるなら中止するしかありませんが。
 
アレルギーをおこして充血することもあります。この場合はまぶたが腫れてしまうこともあります。中止して、炎症を抑える目薬をさすことで対処します。

点眼すると苦い味がする

目頭のところに涙点という涙の下水口があります。目薬はこの涙点から鼻に抜け、さらにのどへと流れて行きます。この流れが良い人の場合、目薬の味を感じることは結構あります。心配する必要はありません。
 
対策としては、目薬をさした後、目頭を1分くらい圧迫するという手があります。鼻のほうに抜けて行きにくくなり、目薬の苦い味を感じずに済みます。全身への影響も減らせます。

ステロイドの目薬

川本眼科だより91でステロイドの目薬について取り上げました。重複するので今回は省きます。
 
ステロイドは眼圧を上げることがあるので、使用している方は定期的に眼圧測定をすることが大切です。

緑内障の目薬

緑内障の目薬は副作用が多く、とくに注意しなければなりません。内科の病気と関連することもあります。
 
今回は書ききれないので、次回の川本眼科だよりで取り上げることにいたします。

2008.4