川本眼科

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川本眼科だより

川本眼科だより 117川本眼科通信 2009年11月30日

『川本眼科だより』の前に『川本眼科通信』という院内報を出していました。

数年前にパソコンのハードディスクが壊れて原稿をなくしてしまいました。幸い1998年以降の分はバックアップがあって助かりました。

古い原稿はあきらめていたのですが、結構執筆に手間暇かけておりまして、できることなら復元したいと考えております。

もし1997年以前の『川本眼科通信』をお持ちの方がいらっしゃいましたらコピーさせていただけないでしょうか? お願いいたします。

同じ話の繰り返し

医師は患者さんに様々な説明をします。病名は何か、それはどんな病気か、治療はどうするのか、生活上どんなことに注意すればよいのか・・等々。

当然のことながら、同じ病気ならば説明内容も似たり寄ったりになります。もちろん、1人1人違う点はあるので、相手に合わせて細部には変更を加えています。それでも、大半は同じ話の繰り返しになってしまいます。

同じ話を何度も何度も繰り返すのは、あまり生産的な仕事とは言えません。同じ話をオウムのように繰り返すくらいなら、その内容を印刷物にして読んでいただいたほうが合理的です。口頭の説明では時間の都合で普通省略するような細かい点まで書いておけます。

そこで、眼科で診ることの多い病気についてのパンフレットをワープロで作り、その病気の患者さんにお渡しするようにしました。

これは結構好評で、意を強くしました。

時間と労力がかかり過ぎる!

ただ、説明用のパンフレットをきちんと作ろうとするとものすごく時間と労力がかかるのです。間違ったことを書いてはいけませんから、資料にあたって調べなければなりません。知っていることでも、正確を期そうとすると大変です。講演で聴いた話など、記憶には残っていても細かな数字などは文献で確認する必要があります。

まあ、どこまで力を入れて書くかにもよるわけで、出来合いの教科書やパンフレットを丸写しすれば楽だし時間もかかりません。でも、それではせっかく新たに書き起こす意味がありません。薬剤メーカーが患者さん向けに作っている小型のパンフレットと同じです。薬屋のパンフのほうがカラーでマンガやイラストも入っていて見栄えが良いかも知れません。

最新の知見を入れ、今までにない新鮮な切り口でテーマを料理しようとすると、なかなか筆も進まず、書き直しも多くなります。多種多様な病気のすべてにパンフレットを作るなんて大それたことは、そう簡単にできることではないと痛感いたしました。

院長なんてやっていると、経営だの人事だの医師の会合だのと雑用も多く、月に1つのテーマで書くのがやっとでした。

川本眼科通信の誕生

多大な労力をかけるなら、なるべく多くの人に読んでもらいたいと考えるのは人情です。ある程度書き方を工夫すれば取り上げた病気にかかっていない方にも興味を持ってもらえるはずだと考え、院内新聞の形式にして患者さん全員に配ることにしました。これが『川本眼科通信』です。

もちろん、広告ビラみたいに読まずに捨てられてしまったケースも多かったと思います。でも、一方で熱心に読んで下さる方もいらっしゃいます。患者さんからの感想や質問が励みになって、毎月毎月書き続けました。

古い原稿を読み返して

10年以上前の『川本眼科通信』の原稿を読み返してみると、内容的に古くなって今日では何の価値もない記事もあります。時事問題を取り上げた場合は特にそうです。健康保険の制度が変わったとか、コンタクトの販売方法とか、今となっては過去のことです。

しかし、10年前も今も変わっていないことも結構あります。そのままで今日でも十分通用する記事もたくさんあります。部分的には古くなってしまっても話全体の趣旨は現在も正しいという記事もあります。そういう記事を埋もれさせてしまうのはもったいないと感じます。

診療所を移転した際にレイアウトをリニューアルして名前も『川本眼科だより』と改め、号数を勘定するようになりました。だよりに変わってからもうすぐ10年になります。

この機会に古い記事で陳腐になった部分を削り、最新の知見を加え、書き直した改訂版を出してみたいと思っています。

2009.11