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院長のつぶやき

院長のつぶやき 集団的自衛権騒ぎに思う 2015年12月13日

集団的自衛権では世間が騒がしかった。
こういう話題は政治的に敏感で、正義を振りかざす過激な人が必ずいる。
だから、ネットで発言するとすぐ噛みつかれる。
だから、多くの人は発言を差し控える。
私も「ノンポリ」を決め込んできた。
でも、嵐も過ぎたようだから、今なら少しは冷静な議論ができるだろう。

一連の安全保障関連法案を「戦争法案」と呼んだのは反対派の作戦勝ちか。
法案にマイナスイメージを植え付けることに成功したと言える。
ただ、言葉として正確でないプロパガンダは大嫌いだ。
レッテルの貼り付けは危険な手法で民主主義の根幹に関わる。
最近は「ワンフレーズ・ポリティクス」が大流行だが、こういう政治は困る。
自民党も野党も猛省してもらいたい。
ただ、こういう手法が流行るのは国民がその程度ということでもある。

戦争は誰だってしたくない。悲惨や不条理に満ちているから。
憲法第9条は、「日本は他国に戦争を仕掛けない」という宣言で、立派なものだ。
大勢の国民がこの宣言を守ろうとしているのも素晴らしい。
この宣言を未来永劫守り続けようとするのは高い理想だと思う。

ただ、残念ながら、こういう宣言をしたからといって平和が守れると考えるのは甘い。
「他国が日本に戦争を仕掛ける」ことは防げないからだ。
世界には「平和を愛する国」ばかりではない。北朝鮮のような好戦的な国もある。
中国やロシアは自国の利益のためなら軍事力を行使することを躊躇わない。
軍事力に対抗できるのは軍事力しかない。これが国際社会の現実だ。

戦争の脅威から身を守るために、自衛隊が発足し、日米安全保障条約が結ばれた。
どちらも違憲ではないかと激しい議論があった。反対する人も多かった。
自衛隊が結局旧日本軍の復活ではないかと多くの人が心配した。
安保反対を叫ぶ学生たちは純粋だったし、戦争を招来する危険を感じていた。
学生時代に左翼的な友人もいたから、彼らが真面目で真摯だったことは知っている。
だが戦後70年間平和が保たれた事実が、この枠組みは成功だったと証明している。

集団的自衛権は、日米で軍事同盟を結んでいる以上、当然だと感じる。
国連の平和維持活動など他国の軍隊と協調する際にも不可欠だろう。
そもそも、どう考えても、これで急に戦争の危険が高まるとは思えない。

「違憲だからダメ」という議論はこと安全保障に関する限り、説得力がまるでない。
条文だけ素直に読めば、自衛隊だって、安保条約だって違憲だろう。
でも現実に対処するために解釈改憲で切り抜けてきた。
条文の言葉尻だけ議論したって意味はない。問題は現実の必要性があるかどうかだ。
国の安全保障は最も優先度の高い事項であり、学者の解釈は参考意見にしかならない。
最終的には国民の意思によって決めるしかない。
日本国憲法は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」
で始まる。最後は国会で決めろということだ。

一連の騒動で一番気になったことは次のような言動パターンだ。
「自分たちは絶対的に正しい善で、相手は打倒すべき悪だ」
「自分たちは善なのだから、何を言っても多少暴走しても許される」
「相手は悪なのだから侮辱してもかまわない」
こういう思想が行き着くところは妥協しない原理主義で危険きわまりない。
今年もたくさんそういう事件があった。
正義は1つではない。その人なり、その集団なりの正義があるのだ。
立場が違えば正義も違う。他人の正義もある程度認めなければ話し合えない。
民主主義の基本はルールに従って冷静に議論することだと私は思うのだが。
一国の首相に罵詈雑言を浴びせかけるやり方には不快感と反感を覚えた。

以上、普段は政治活動を全くしないノンポリのたわごとでした。
お願いだから過剰に反応して噛みつかないで下さい。
何を言われても再反論はいたしません。ごめんなさい。

(2015.12.14)

院長のつぶやき

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