院長のつぶやき 白内障術後の眼内炎 2016年6月27日
白内障の術後におこる合併症として眼内炎がある。
眼内炎を起こしてしまうと、大変だ。
迅速な治療で大したことにならずにすむこともある。
でも、手当てが遅れると、治療に抵抗し、失明することもありうる。
よく見たいと思って手術したのに、逆の結果になりかねない。
昔は結構多かった。
手術手技や管理方法が進歩した結果、激減した。
術前術後に禁止事項が多いのは眼内炎対策と言って過言ではない。
10年くらい前には0.1%以下になった。
他の合併症もすべてひっくるめて発生率約0.1%
そこで、「99.9%くらい大丈夫」と説明していた。
こうお話しするとたいていの方は安心される。
「逆に言うと千件に一件くらいトラブルがおこる」と付け加える。
そうすると皆さん心配そうな顔をされる。
同じことを言っているのだが、言い方で印象は変わるのだ。
最近は眼内炎の発生確率はさらに下がったようだ。
日本眼科学会で発表された報告によると、発症率0.02%だったという。
さらに5分の1になったわけだ。手術はそれだけ安全になった。
発症例の内訳をみてみよう。総登録数は6万3千例。眼内炎発症は25例。
術後4週までの急性細菌性眼内炎が13例。
術後5~8週の遅発性眼内炎は12例。
全例が術後2ヶ月以内に集中していた。
そうすると、術後2ヶ月までは気をつけたほうがよいということになる。
眼内炎は早期発見早期治療が大切だ。
この期間は頻回にチェックを受けることが望ましい。
99.98%まで大丈夫でも、0.02%にならないための対策である。
(2016. 6.27)