院長のつぶやき エスカレータの片側を空けるのはやめよう 2004年12月19日
エスカレータの片側を開けるのがマナー、ということになっている。
東京でも名古屋でも大阪でもすっかり定着した。
最初、片側空けが提唱されたときには、私もよい考えだと思った。
急ぐ人には、なるほど便利そうだ。自分自身、急いでいる時に
エスカレータにじっと立って乗っ ているのはイライラすることがあるからだ。
しかし、何年間か片側空けを続けてきた現時点で思うに、このマナーは弱者に対する配慮を欠き、一部の元気な人のために大勢が迷惑するという結果を生んでいる。はっきり言って、もうこんなことはやめるべきだ。
狭いエスカレータを駆け上がろうとすると、どうしても接触がおこる。
元気な人には何でもないことでも、ハンディキャップを持った人には重大な結果を招く ことがある。高齢者などは転倒しかねない。
そもそも、メーカーは
「エスカレータを歩くのは危険だからやめたほうがよい」と言っているのだ。
世の中には脳梗塞で片マヒをおこしている人もいる。この人にとっては、
手すりは右でも左でもよいというわけにはいかない。右側を空けろと言われても、ど うしても右の手すりを持たざるを得ないのだ。
親子連れなら、手をつないで乗りたいところだ。
同じ段の左右に乗るのが自然であり、一番安全だと言える。
健康な人にとっても迷惑は大きい。ふつう、エスカレータの一段は
狭すぎて、詰めて乗るのは無理がある。そのため、ほとんどの人は、
一段空けて乗っている。
そのため、エスカレータの乗り口に行列ができていることがよくある。
もし、右・左・右・左・・・と順番に乗れば、詰めて乗っても無理がない。
そもそも、右側を急いで歩いても、節約できる時間はせいぜい1分だろう。
それだけの元気な人なら、エスカレータを降りてから急げばよいだろう。
強者のた めに弱者が遠慮するという「マナー」は、間違っていると
言わざるを得ない。 エスカレータの隣に階段があることもよくある。
急ぐなら、階段を使えばよいのだ。少なくとも私はそうしている。
それどころか、みんなが左側に寄ってすし詰めで乗っているとき、右側には誰も歩いていないこともよくある。これでは、幽霊のために我慢し遠慮しているよう なものだ。幽霊が急ぐのに遠慮して、みんな黙ってエスカレータの乗り口で行列を作って待っている・・・これではマンガだ。
もっとも、ほかの人がみんな左側に寄っているとき、自分だけ右側に立つというのはしにくいものだ。こういう「マナー」を強制的にやめるために、管理者はエスカレータの乗り口に「片側を空けないように」「歩かないように」と表示すべきだと思う。
とにかく、こういうアホな習慣は、早くやめたいものだ。