院長のつぶやき 参議院選挙2013 2013年8月9日
参議院選挙で羽生田 俊(はにゅうだ たかし)氏が当選した。
羽生田氏は日本医師会の推薦候補で、しかも眼科医だ。
ふだん政治とは距離を置いている私も可能な限り協力した。
医師会は参議院比例区に毎回推薦候補を送り出している。
現実に医療制度を動かすのは政治だ。
医療人は政治家が決めた制度に翻弄される。
日々の診療に政治の影響はもろにひびく。
比例区の職能団体候補は批判されることもあるけれど、
現在の政治のあり方からすれば、やっぱり必要な存在だ。
ところが、医師会の推薦候補は参院選で2連敗している。
その結果参院に2人いた医師会系国会議員がいなくなっていた。
(武見敬三氏は繰り上げ当選で1年だけ復職したけれど)
原因はいろいろある。
医師の多くが選挙に無関心なこと。
と言うより、医師の多くは選挙に関わることを避けてきた。
かく言う私もその1人だ。
医師はどんな政治信条の人も診療する義務がある。
特定の政治団体に深入りしないほうがよいと思ってきた。
主義主張の違う人たちが混在していてまとまりにくいこと。
(自民党支持者も共産党支持者もいるわけです)
看護協会が一枚岩なのと比べると、選挙には不利だ。
看護師は「地位向上」が悲願で一致団結しやすい。
医師には論客が多くて政治的意見はバラバラだ。
羽生田 俊氏は比例区の自民党6位で当選した。
前の医師会候補武見敬三氏も東京選挙区で当選した。
愛知県でも酒井庸行氏と大塚耕平氏は医師会推薦候補だ。
みんなの党の薬師寺道代氏も医師だ。
これで国政に医師の声が届けばいいな、と思う。
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ただ、自民党に投票しながら、心境は複雑だ。
正直なところ、医師会の候補に投票することによって、自民党の
「国債暴落の危険を孕んだ危なっかしい経済政策」
「うわべだけ新しくした旧態依然の利益誘導型バラマキ政治の復活」
「後世に膨大な危険と負担を押しつける原発推進」
等に結果的に荷担することは、私の本意ではない。
原発に反対している人が多いのに、選挙の結果原発推進って・・
民意を汲み取るのに、選挙よりももっと良い方法はないものか。
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1つの党が選挙で大勝するのは悪いことではない。
政権党が政策を実現するのにはそれなりの力が必要だ。
ねじれで国会戦術に明け暮れるよりなんぼかマシだ。
ただ、次の選挙で国民の審判を受けることが条件だ。
ストレートに審判の結果が反映されるには一院制がよい。
一院制なら1党が勝ちすぎても次の選挙でひっくり返る。
でも、参議院選挙の結果は6年後まで影響する。
つまり、どこかの党が衆議院で過半数をとっても、
自民党は参議院の多数を使って政策を邪魔することができる。
国民にNOと言われても延命を図れるって、おかしくないか。
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選挙は終わった。
応援した候補は勝った。
でも、手放しでは喜べない。
この国を率いる安倍首相が、
私が思っているより優れたリーダーであってくれることを願う。
(2013. 8.9)