院長のつぶやき 豚レバーの生食禁止 2015年6月14日
30年以上前に医学部の講義で豚を生で食べることがいかに危険か聴いた。
ただ、当時豚の生食は一般的でなかった。
ゲテモノを好む特殊な嗜好という位置づけだったと思う。
最近のニュースで豚レバーを生で提供することが禁止されたと聞いた。
今までが合法だったことに逆に驚いている。
それも牛レバーが禁止されてから短期間に広まったのだという。
いやあ、これはさすがにまずいでしょう。
レバー以外の部位でも生で良いとは言えないが、レバーは特に危険だ。
食文化などと言っている人もいるようだが、歴史的には生食は普通ではない。
個人の自由でもない。公衆衛生上の問題だから。
「好きなものを食べたい」という程度の低い欲求より社会的衛生管理は完全に優先する。
今言われているのはE型肝炎やサルモネラなどだが、それだけでの問題ではない。
将来的にもっと重大な問題をおこす心配がありそうだ。
人畜共通感染症という概念がある。
生物学的に近い種では感染症がおこりやすい。
そして病原体のDNAは変異を繰り返し、新種を生み出す。
強毒化し、そして人から人への感染力を獲得するかも知れない・・
生食禁止に反発するツイートが大量に出たらしい。
これは無知か無責任によるものだと思う。
特に、現職の国会議員有田芳生氏が豚レバー禁止を批判したのだとか。
国会議員ともなれば発言の影響は大きいのだから、もっと慎重であるべきだった。
よく勉強してから責任ある言動を取ることが求められているのだ。
きちんと、発言の撤回、謝罪、生食禁止に支持表明、などが必要だろう。
それができないのなら政治家失格である。
私は生食禁止を全面的に支持する。
ほとんどの医師は同じ意見のはず。
(2015. 6.14)