川本眼科

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院長のつぶやき

院長のつぶやき医師会推薦候補

参議院の選挙が近づいてきた。こういう時期になると、医師会から
医師会推薦候補を応援しろというお達しが届く。
今までは聞き流していたが、今回はちゃんと投票に行こうと思っている。

学生時代から、政治とは距離をおいてきた。政治思想の違いから内ゲバが
おこるのを見ながら育ってきた世代で、イデオロギー云々がからむ問題は
敬遠してきたし、特定の政治団体を支持することも避けてきた。
だから、医師連盟(医師会が政治活動を行うための団体)から政党入党や
政治家後援会入会を依頼されてもすべてお断りしてきた。

ただ、昨今のいろいろな医療問題をどう解決するか考えていくと、
やはり政治の力が必要だと痛感する。
・地方や特定科における医師不足の問題しかり。
・新しい治療法や検査法がなかなか健康保険の対象にならない
問題しかり。
・無過失補償制度を導入する問題しかり。
・医師法・母体保護法などの法律の不備が長年是正されない問題しかり。

こういう問題は、政治家が取り上げ、動いてくれないとどうにもならない。
少数の声では無視され、放置されてしまう。何か事件がおこってマスコミが
取り上げ、世論が盛り上がれば違うのだろうが、それを待っていたのでは
遅きに失する。

政治家の論理は簡単だ。自分を支援し、票を集めてくれる人のために働く。
そうであれば、いろいろ不満はあっても医師会推薦候補を
応援するしかないのかな、と思う。

だが、今は院長が号令をかけたからといって、スタッフがみんなその通りに
投票するという時代ではない。政党支持や思想信条にまで院長が
立ち入ることはできない。誰に投票したか聞くことさえまずいだろう。
おまけに、看護師には看護協会なるものがあって、看護協会推薦候補が
いるらしい。
看護師数は正看・准看・助産師など合わせると100万人を超し、
医師の4倍くらいいるから数ではとてもかなわない。

医師の考え方は多様で、執行部の方針に賛成しない人も多い。
私同様、政治とは距離をおいて、医師は目の前の患者をみることに
専念すべきだ」と考えている人も多い。だから、医師の数ほどには
医師会推薦候補に票は集ま らない。
私も今まで投票したりしなかったりだった。
だが今は、医師会推薦候補が落選して医師の声が国会に
届かなくなったら、医療危機がもっと深刻化するのでは、と感じている。
何しろ政府は出費を抑 えることしか念頭にない。「改革という名の改悪」が
まかり通ってしまいそうなのだ。

もっとも、医師会推薦候補(全国区)以外はまだ迷っている。
医師の声を代弁してくれるなら、本来は自民党でも民主党でも
かまわないはずだが。

院長のつぶやき息子の虫垂炎

息子が6月11日(月)に虫垂炎で手術をした。
家内(副院長)が看病のため3日間休診し、私1人で診療することになった。
この間、患者さんには大変ご迷惑をおかけした。
外来は混雑したし、時間のかかる検査は後回しにさせていただいた。
せっかく来院されたのに、張り紙を見てお帰りになった方もいらっしゃった。
この場を借りてお詫び申し上げます。

たかが虫垂炎(俗に言う盲腸)だが、いざ身内が病気になると大変だ。
手当が遅れると、穿孔して腹膜炎をおこすこともある。

息子は神戸にある灘中に入り、下宿生活をしている。腹痛をおこしても、
親はなかなか子供の状態がわからない。
下宿の大家さんが産婦人科の先生で、早めに「虫垂炎かも知れない」と
判断 して知り合いの外科の先生に連れて行って下さった。そのうえ、
幸運なことにたまたま学校の保護者会があって、家内が学校に行っていた。

新幹線で家内が息子を名古屋まで連れて帰った。
看病や付き添いのことなど考えればそのほうがよいと思った。
井上医院・井上先生のご尽力で大同病院ですぐに
手術していただくことができた。
術後見せていただいた虫垂はずいぶん腫れていた。

もし、大家さんが外出していたら・・・
もし、家内が神戸に行っていなかっ たら・・・
最悪、腹膜炎をおこして神戸で緊急手術になり、治療も長引いたに
違いない。
1週間以上、患者さんにご迷惑をおかけすることになったかも知れない。

こんなこともあるから、中学生の子供を遠くに下宿させるというのは、
心配が尽きない。親は腹をくくる必要がある。そして何より子供に十分な
覚悟がなければやめたほうが無難だ。
娘は名古屋の中学にしてよかったと思う。

不幸中の幸いで、息子は順調に回復しております。
お世話になった方々、ご心配をおかけしたみなさんに深く感謝いたします。
本当にありがとうございました。

院長のつぶやき患者様って変な言葉

京大病院が「患者様」という呼称を廃止するそうだ。
朝日新聞によると、「違和感がある」「馬鹿にされている感じがする」という
声を受けての決定だという。
国語学者の金田一春彦氏が「患者様という言葉はおかしい」と著書で
指摘したことが見直しのきっかけらしい。

私も、「患者様」という言葉が使われ出した当初からうさんくささを
感じていた。
慇懃無礼で相手を近づけさせない冷たさを感じる。
それに、なんだか「いらっしゃい、いらっしゃい。こちらの商品は
いかがですか」と揉み手をしながらお客を呼び込んでいる商人の
においがする。

私の記憶では「患者様」なる言葉を提唱したのは接遇コンサルタントと
言われている人たちだった。この人たちは、もともとホテルマンや
客室乗務員などサービス業のプロで、自分がいた業界の考え方を医療にも
導入しようとした。
確かに古い医療人に斬新なものの見方を提示した功績はあるが、
一方で医療の特殊性を誤解ないし軽視していたことは否めない。

そもそも、医師がそんなにへりくだり、卑屈な姿勢を取ることが
よいことなのかどうか。
医療は他のサービス業とは違い、患者さんが嫌がることや避けたいことでも
受け入れていただかなければならない。時には説得したり、
叱責したりすることも必要なことがある。
「良薬は口に苦し」と言う。苦い良薬を飲まなければ治らないのに、
「患者様=消費者は神様」だとして「そんなことを押し付けてはいけない」と
いうことになったら治療はできない。現実に、今それに近いことがあちこちで
おきている。

患者が上で医師が下という関係では、医療は成り立たないのだ。
基本的に、患者と医師は対等な立場で向き合い、医師が専門家として
助言や指導をするというのがあるべき姿だろう。
「患者様」という言い方は発想の根底で間違っていると思う。
京大病院の英断にエールを送りたい。

(2007.5.15)

院長のつぶやきダイヤモンド

ネタを思いつかないので、今回は眼科の話ではなく、ダイヤモンドの話を
書くことにした。女性の方は好きですよね。

「ブラッド・ダイヤモンド」という映画を見てきた。
映画の内容について何も予備知識はなく、広告の写真からスカッとする
冒険活劇だと思って見に行ったのだが、アフリカの現状を告発した
なかなかシリアスな映画だった。考えさせられた。
報道などで知識として知ってはいても、実際に映像として見せられのは
やっぱり違う。百聞は一見にしかず。
ダイヤを買うと、アフリカでの殺し合いに加担しているかも知れない、
という怖いお話。

それにしても、なぜみんながダイヤを欲しがるのだろう?
これは世界最大のダイヤ加工・流通・卸売業者であるデビアス社の
イメージ戦略が成功したからだという。婚約・結婚指輪の理想だという
神話が、ダイヤの需要を支えている。

しかし、実はダイヤの価値というのは砂上の楼閣かも知れない。
デビアス社はダイヤの価格を国際的に統制するシステムを作り上げ、
そのためにダイヤの価格は人為的に高く維持されているという。
本当は世界的に供給過剰が続き、自由競争に任せたらダイヤの価格は
大暴落すると予想されている。

ダイヤはもともと炭素というありふれた元素からできている。
技術の発達の結果、宝石用のダイヤでも現在は生産可能だ。
もしも劇的にコストダウンができて、大量に人工の宝石用ダイヤが
生産されれば、ダイヤの価格が大暴落することは間違いない。
今日10万円で買ったダイヤが、10年後には1万円の価値もない、
ということは十分にありうることなのだ。

宝石というのは、金銭的価値が持続すると信じて買うと間違いだと思う。
単純に「好きだから」「きれいだから」ということで、完全な消費として
買うのが正しい。
そうするとあまり高価なものは買えないけれど。
婚約指輪に給料の3ヶ月分もかけるのはバカだと思うよ。

そんなわけで、私が妻にダイヤを買ってやらないのは、別に妻を
愛していないからではない。ダイヤを買うことがアフリカでの紛争を
助長することにつながるかも知れないからであり、ダイヤの永続的価値に
疑問を感じているからなのだ・・・(ほんとかな?)

(2007.4.9)

院長のつぶやき花粉症の季節

今年(2007年)はスギ花粉の飛散は少ないという予測だった。
ふたを開けてみたら、花粉の量は例年よりむしろ多く、川本眼科にも
花粉症の患者さんが大勢来院される。眼科の患者さんは冬には少なく、
毎年花粉症とともに忙しくなるのだ。一足早く春の訪れを感じる。

患者さんが多いのはありがたいことだ。
その反面、混雑して待ち時間が長いという苦情もいただく。
待ち時間短縮には医師の説明を省くのが最も即効性があるのだが、
それでは患者さんは満足されない。
短時間で要領よく説明することに心を砕く。

検査スタッフの手もなかなか回らない。季節によってスタッフの数を
増減させるのが理想だが、現実問題として難しい。コンビニのバイトと
違って全くの未経験者が急にできる仕事ではないからだ。
そのうえ、子持ちのスタッフがほぼ半数を占めているから、卒業式・
父兄参観日・子供の病気などで休みを取ることも多い。

先日は4人お休みというピンチになった。
1人は眼科医会のスタッフ講習会への参加だから診療優先にすることも
できたが、スタッフの勉強も大事と考えて講習会に行かせた。
予約を入れない、検査を減らすなどの対策でなんとか乗り切った。
正直、ひやひやの綱渡りだった。

花粉が多いと実は私も憂鬱だ。私自身重症の花粉症なのだ。
スギ花粉の飛散が始まると、私は外出時完全防護にする。
マスクはもちろん、ゴーグル(花粉症予防のオーバーグラス)をはめ、
花粉のつきにくいつるつるのコートを着て出かける。
まるで変質者のような格好だがしかたない。目薬は3種類を併用し、
のみぐすりも飲み、点鼻スプレーも使う。この生活が2ヶ月は続く。

これだけの対策をとるとさすがに効果はある。花粉症の季節でも
それほどふだんと変わらない生活ができる。何の対策もしていない家内は
鼻水ぐずぐずで目をかゆがっている。もともとは家内のほうがはるかに
軽症なのだが。
医者の不養生とはこのことさ。天は自ら助くる者を助く。

(2007.3.10)

院長のつぶやき

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