院長のつぶやき 代替調剤 2005年8月23日
8月25日から、川本眼科の処方箋に「代替調剤可」という
ハンコを押すことにした。
この欄を使って、この件の説明をさせていただく。
代替調剤(だいたいちょうざい)というのは聞き慣れない言葉だ。
たぶん役人か誰かが新しく作った造語だろう。
厚生労働省によれば、「同一の有効成分を同一量含有し、かつ、
同一の投与経路である他の医薬品に変更して調剤すること」だそうだ。
「代替調剤可」というのは、簡単に言うと、医師が出した薬と中身が同じ
なら、薬局が別のメーカーの薬にしてもいいよ、ということだ。
新薬は特許に守られていて、開発メーカー以外は同一成分の薬を
出すことができない。しかし、特許は20~25年で切れる。
その後は、どの製薬会社も同一成分・同一製法の薬を出すことができる。
開発メーカーの製品は先発品と呼び、マネをして作られた薬は
後発品と呼ぶ。よく売れた薬は後発品もたくさん出る。
例えば、万有製薬が開発したチモプトールという目薬は、よく効き、
たくさん売れたのだが、特許が切れたあと、チアブート、チモロールT、
ファルチモ、ブルンネ、チモレート、リズモン、チマバックなど、
たくさんの後発品が登場した。
この目薬の場合、先発品と後発品では薬価が2倍以上違う。
患者さんの自己負担もずいぶん違ってくる。効き目が同じなら、
安いほうが患者さんは助かるだろう。そう思って川本眼科では
リズモンを処方することが多い。
ところが、C病院はチモプトールを処方し、S眼科はチモレートを
処方し、M眼科はファルチモを処方する、ということがおこる。
そうなると、薬局のほうは同じ成分の薬を何種類も在庫として
かかえなければならなくなる。
薬には有効期限があるから、期限を過ぎた在庫は廃棄するしかない。
薬局としてもこれでは困るだろう。
そこで、川本眼科でリズモンを処方していても、薬局にあるのが
チモプトールだったらそれを調剤してかまわないことにしたのだ。
これには患者さんにもメリットがある。薬局に在庫がなくて
すぐに薬がもらえないということが少なくなる。また、もらった薬の
有効期限が間近に迫っているなどということも少なくなる。
もっとも、実は、後発品は先発品と完全に同じわけではない。
確かに有効成分は同一だが、添加物などが異なっていることが
多いのだ。それに、代替調剤となれば、患者さんの支払額だって
変わってくる。だから、患者さんが、処方箋の通りに薬がほしいと
こだわるのは、別にダダをこねているわけではない。
処方箋通りを希望する方は、薬局にそう要求してかまわない。
それは患者さんの権利だ。