院長のつぶやき朝日新聞の大誤報
朝日新聞は10月15日朝刊の一面トップで東大医科研を攻撃する記事を掲載した。
がん治療ワクチンが原因で消化管出血をおこしたのにそれを隠蔽したとする内容。
だが、現在までの情報を総合すると完全な早とちりだったようだ。
つまり、消化管出血とワクチンの間に因果関係はないと医科研では判断しているのだ。
もちろん、因果関係の有無を100%証明するなど無理に決まっている。
ただ、大マスコミが1面トップで断罪する以上、叩く相手を疑うそれなりの根拠は必要だ。
ところが続報もなく、どうやら根拠はきわめて薄弱のようだ。
新聞記者の無知がおこした大誤報らしい。
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誠実な医学研究者は、因果関係が99%ないと判断しても可能性は0%ではないと考える。
臨床治験中におこったことはどんなことでもすべて記録する。後で検証するために。
そのうち患者に不利益なできごとを「有害事象」と呼ぶ。
例えば、ある朝ビタミン剤をのんだ。昼下痢をした。
普通ビタミン剤が下痢の原因になることはないが100%原因でないとも言い切れない。
そこで「有害事象」として記録しておく。これは副作用という意味ではない。
記者は「有害事象」なる言葉の響きにつられて薬の副作用と即断したようだ。
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別の見方もある。
わざと「有害事象=副作用」と誤認させるような記事を書く。
手間暇かけた取材だから記事にならないと困る。特ダネにしたい。
見出しだけセンセーショナルにすればみんな医科研が悪者だと信じるさ。
自分たちが立てた筋立てに都合よい情報だけ組み合わせて話を作る。
関係者の発言の断片を恣意的に切り取ってつなぎ合わせているとも指摘されている。
もし本当にそういうことなら罪は重い。ほとんど捏造に近い。
少なくとも名誉毀損に相当するだろう。
誤報でも訂正記事は出さず、誤報の印象だけ広めるのはマスコミの常套手段。
自らが作り出したイメージを利用して自分たちを正義の側に見せかける。
汚いやり口だと感じる。良心に恥じないのだろうか。
マスコミは第四の権力でその力は大きい。もっと責任を自覚してほしい。
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なお、私は東大医科研とは何の利害関係もない。
まったくの部外者で報道やインターネットからの情報しか知らない。念のため。
(2010.10.20)
院長のつぶやきうつ病にも温かい励ましは必要
長い間、「うつ病患者を励ましてはダメ」と言われてきた。
下手に励ますと自殺しかねないというのだ。
医学生向けの教科書にもそういうことが書いてあったと思う。
ところが、どうもこれは神話に過ぎないらしい。それも日本だけ。
英語の教科書にはちゃんと「うつ病患者に激励は必要」と書いてあるそうだ。
(自分で読んでいないのは申し訳ないが専門外なのでお許しを)
最近は激励禁忌に疑問が出され、そういう趣旨の本も出版されている。↓
井原 裕著「激励禁忌神話の終焉」
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4535983143.html
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もともと激励禁忌とは「怠惰を叱責してはならない」という意味だった。
うつ病で精神的に疲労困憊してどん底状態の者をむち打つような言葉はまずい。
勤勉こそ善という立場からうつ病患者を責めてはいけない。
仕事の束縛から解放し、休息を与えなければならない。
それがある意味拡大解釈され、すべての励ましが悪とされてしまった。
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希望を与え、力づけ、前向きな姿勢を支える言葉が悪いわけではない。
むしろ、うつ病患者はポジティブな方向への働きかけを必要としている。
考えてみれば当たり前の話。
「死にたい」と口にする人に「生き抜こう」と励ますのが悪いはずはない。
家族や友人からの励ましが全くなくなったら、うつ病でなくたってつらいと思うよ。
(2010.10.13)
院長のつぶやきゲゲゲの鬼太郎英語版
「ゲゲゲの女房」というNHK朝の連続テレビ小説が終わった。
私も鬼太郎を読んで育った世代なので題名につられて見始めた。
中身は結局漫画家の妻の貧乏苦労話といったところか。
結構はまって半年間見続けた。まあまあおもしろかったと思う。
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学生の頃「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌を英訳した奴がいた。(30年以上前ですね)
なかなか秀逸で感心した覚えがある。埋もれてしまうのはもったいないのでここに記す。
誰が訳したのか知らないし、記憶も正確ではないのはご容赦いただきたい。
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Gd! Gd! Gd Gd Gd & Gd! (ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲー)
Morning, in the bed, ZOO ZOO ZOO… (朝は寝床でぐーぐーぐー)
Comfortable! Comfortable! (楽しいな、楽しいな)
Ghosts have no school, no examinations!(お化けにゃ学校も、試験も何にもない!)
Gd! Gd! Gd Gd Gd & Gd!(ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲー)
Let’s sing together, Gd! Gd! Gd Gd Gd & Gd!(みんなで歌おう、ゲゲゲのゲ)
Let’s sing together, Gd! Gd! Gd Gd Gd & Gd!(みんなで歌おう、ゲゲゲのゲ)
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いかにもカタカナ英語という感じで発音すると一層味わい深いものがある。
特に「楽しいな」を comfortable と訳したのは素晴らしい。
寝床でぬくぬくと気持ちよさそうにしている情景を彷彿とさせるではないか。
(2010.10.4)
院長のつぶやき朝食を毎日取る人は幸福?
東北大の川島隆太教授がマスコミ向けに発表したところによると、
・朝食を毎日取る習慣がある人ほど自分を「幸福」と感じている
・朝食を毎日取る人は総合的な生活の充実度の自己採点が高い
・転職希望者が「朝食を毎日取る人」36%、「朝食を取るのは週2日以下」57%と大差
朝食をきちんと取る人は規則正しい生活を送り、時間を効率的に使うと分析している。
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川島教授って、音読・計算ドリル・脳トレを流行らせた人だっけ。
科学的に論証されたデータとはとても言えなかったが、マスコミ利用は上手な人。
「脳トレ」関連の商売で自分の研究室の研究費を稼ぎ出したそうだからやり手だ。
今時は研究者もこういう才覚が必要ということ。
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朝食云々は2匹目のドジョウ狙いか?
今年の1月にもアンケート調査結果を発表して
・朝ごはん習慣を身につけていないと、学力どころか脳の働き自体が低い
・functional MRIで測定すると、バランス良く朝食をとった時の方がより脳が働いている
・朝ごはん習慣を身につけている人は、理想とする大学に合格し、収入も多い
・朝食の習慣が、私達の人生の質を決めている
と主張していた。
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これが事実だとしても、朝食習慣が原因なのか結果なのか不明ではある。
人生がうまくいかずお金がなければ朝食を抜くことも増えそうだ。
朝食が血糖を上げ、その日のエネルギー源になることは確かに証明されている。
ただ、「人生の質を決める」というのは言い過ぎだと感じる。
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まあ、発表のすべてが正しいとは言えなくても、
朝食をきちんと取るのはよい習慣であることは間違いない。
私は、毎日欠かさず朝食を取っている。
(2010.9.20)
院長のつぶやき職員募集に86名応募
出産のため事務が1名退職するので職員を募集した。
たいていは「とらばーゆ」を使う。複数の候補者から選べる。
ハローワークだと1人ずつしか紹介してくれないので選考がしづらい。
やっぱり、できるだけ優秀な人を採りたい。他のスタッフの足を引っ張るようでは困る。
「とらばーゆ」は今は雑誌ではなくインターネット求人システムになっている。
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一般に、有資格者は少なく、無資格者は多い。
看護師や視能訓練士を募集してもそんなに応募者は来ない。応募ゼロもありうる。
大きな病院が大々的に求人しているので、そちらに行ってしまうのだ。
その点、事務は資格が要らないので大勢応募がある。
応募者数は景気の波の影響をもろに受ける。景気が良いと失業者も少ない。
他の分野で職が多いと応募者は減る。愛・地球博の時は少なかった。
不況の時はどこも求人が減るため相対的に医療分野に人が流れる。
うちは17時受付終了・交通便利など働きやすいため応募者はいつも比較的多い。
それでも今まではせいぜい20~30人だった。
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今回はなんと応募者が86人にのぼった。採用は1人なのに。倍率86倍。
不況は深刻なんだと実感する。
それに派遣が増えて正職員募集が減っているのだろう。
インターネット受付だと履歴書送付に比べ敷居が低いのかも知れない。
たぶん、1人で何件も応募しているのだろう。片っ端から、という人もいるだろう。
それとも、みんなでフランス料理を食べに行った時の写真が効いたのかも。
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採用選考はいつも悩む。正直、履歴書と面接だけでは能力はわからない。
医療事務関係の民間資格は乱立しすぎていて正直重視していない。
あてになりそうな資格は2~3しかない。それより実務経験のほうが大事。
現に職に就いている人は採用しにくい。現職を辞めさせたら責任重大。
最初の1ヶ月はテスト雇用なので適性がなければやめてもらうこともありうる。
(幸いテスト雇用を採り入れてから今のところ1人もいないが)
次の職が決まってから辞めたいのはよくわかるのだけれど。
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あまりに立派な職歴も困ることがある。他社で管理職をしていたとか。
雑用をこなし、下働きをしてほしいのにミスマッチになってしまう。
リーダー格をヘッドハンティングしたい時ならよいのだが・・・
距離も大事。他が同じ条件なら近い人を選ぶ。
台風などの自然災害や交通機関が休止したときなど、近い人は何かと助かる。
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結局履歴書を30人ほどに送っていただき、数人と面接してようやく採用を決めた。
23歳の明るく頑張り屋のお嬢さん。お住まいは当院から自転車で10分。
医療事務の経験はないけれどそれは本人の努力とやる気次第だと思う。
頑張って川本眼科に欠かせない存在になって欲しいものだ。期待している。
(2010.9.13)