院長のつぶやき体罰
体罰が学校やスポーツ界に蔓延しているようだ。
明るみに出たのは恐らく氷山の一角だろう。
言うまでもなく、体罰は暴力であり、許されるものではない。
ところが、体罰を容認する意見も根強くある。
「愛のムチ」だとか「熱心な指導の現れ」と擁護する声が多い。
私は、そんなもの神話だと思う。
中学・高校の頃見聞した体罰に、私は今でも嫌悪感を持っている。
ほとんどの場合、体罰は怒りに任せて行われる。
指導者が感情をコントロールできていない。
発覚すると「奮起を促すためだった」「自覚を持って欲しかった」などと言う。
大体が自己弁護・正当化だ。
成長過程で人は必ずミスをする。初めから完璧なはずがない。
それなのに、未熟な指導者はミスを容認できない。
ミスの原因を指摘し、どうしたら繰り返さずに済むか考えさせるのが指導だ。
「できなかったらビンタ」では指導とは言えない。
暴力には自由な発想や主体的な活動や変革の意欲などの芽を摘む弊害もある。
監督やコーチの作った枠を超えることが困難になる。
そして、体罰は従属関係を明らかにするために行われる。
「俺はおまえより偉い。おまえは俺の言うことを聞け」
人格や理論や技術などで尊敬を勝ち得ることができないとき、
誰がボスかわからせるために体罰に頼るのだ。
体罰に頼る指導者は指導力がないし、精神的にも未熟と言わざるを得ない。
指導者として不適格である。
-
昔は親が子供に体罰を与えるのは当たり前だった。
それが躾だとされていた。
私の父も姉や兄に手を上げた。
(私はそれを見て育ったので上手に立ち回った)
それが教育に役立ったとは思えない。
時間がかかっても言葉で納得させる必要があったのだ。
結局わだかまりを残し、ギクシャクした関係を招いたと思う。
私は息子や娘に手を上げたことは一度もない。
体罰に頼るより子育てははるかにうまくできたと思っている。
-
暴力を受けてきた選手はコーチになったときに暴力をふるう傾向があるらしい。
暴力を受けて育った子供は自分の子供に暴力をふるう傾向があるらしい。
そうだとすれば、どこかでその連鎖を断ち切る必要がある。
信頼関係を結べているときに、軽いビンタ程度は問題ない場合もあるだろう。
ただ、それを容認すると深刻な暴力に対して弁解の余地を残してしまう。
体罰は厳禁にするしかない、というのが私の結論だ。
(2013.2.3)
院長のつぶやき憲法96条の改正
安倍首相が憲法96条の改正を唱えている。
憲法96条は憲法改正の要件を
(1)衆参両院で議員総数の3分の2以上の賛成→発議
(2)国民投票で過半数の賛成→承認
と定めている。
発議を「3分の2以上」から「過半数」にするという案だ。
私は、現在の右寄りに傾いた政治体制には批判的だ。
安倍内閣は少々右過ぎると思っている。
そして、憲法9条は堅持すべきだと考えている。
だが、民主主義の原則から考えて、「過半数」案は正論だと思う。
過去の人たちが現在や未来の人たちを縛ることはできない。
憲法改正を極端に難しくしているのは、憲法以前に倫理に反する。
逆を考えてみればいい。
大昔に決まった憲法で人権侵害の規定があったとする。
ところが憲法改正には「国民投票で9割の賛成が必要」だったら・・
国民の大多数が望んでも憲法改正ができないことになってしまう。
改正でなく、新憲法制定だったらどうだろう?
普通、多くの国では単純な国民投票で憲法を制定する。
国民の過半数が賛成すれば新憲法は成立する。
独裁者の時代の憲法改正手続きなど、一顧だにされない。
つまり、革命やクーデターなら、こんな改正条項は無意味なのだ。
憲法9条を守るのは手続き論ではないはず。
国民の過半数が憲法9条を堅持する意志を持ち続けることこそ大切だ。
「である」ことより「する」ことが重要と丸山眞男は説いた。
過去の遺産に安住するのではなく、自分自身の責任で意志決定すべきだ。
再軍備に賛成する人が過半数になったら、改正もやむを得ないと思う。
良くも悪くも、それが民主主義というものだ。
(2013.2.1)
院長のつぶやき銀婚式
本日1月30日は家内と私の25回目の結婚記念日だった。
よくも1年で一番寒い時期に結婚したものだ。
医師の知人を呼べるのは日曜祭日に限られる。
そして母が大安にこだわった。
仲人の教授は学会や講演で超多忙。
・・すべての条件を満たす日は真冬のこの日しかなかった。
雪が降るのを心配したけれど、大丈夫だった。
まあ、真夏の結婚式よりはましだったと思う。
礼服は暑い。結婚式でクールビズというわけにはいくまい。
1月の結婚で良かったこともあった。
ハネムーンのニュージーランドはベストシーズンだった。
あれから25年。
銀婚式なんて自分たちとは関係ないとずっと思っていた。
でも、その日はあっけなく来るものだ。
長続きする秘訣は・・「思いやり」と「我慢」ですかね。
お互い、自分のほうが我慢していると思っている。
なんとか、これまでやってきた。
これからもよろしくお願いしますね、うちのカミさん。
ちなみに記念のイベントはまるでなし。
受験生の娘を抱えて、正直それどころじゃない。
どこかの塾のキャッチフレーズじゃないけど、
「僕たちの正月は、3月だ!」
(2013.1.30)
院長のつぶやきバブルの始まり
アベノミクスなる安倍首相の経済運営が評価されているらしい。
日銀まで巻き込んで2%のインフレターゲットを設定した。
本気で「輪転機でお札をどんどん刷る」気らしい。
国債の日銀引き受けに近い戦術を取るつもりもあるようだ。
初めは上手くいくように見えるかも知れない。
景気が良くなって、みんなが気分がいい。
でも、いずれ金余りが来る。
資金需要がないのに、金融政策だけでは上手くいくはずがない。
悪性のインフレがやってくる。
国債が信認を失って暴落するかも知れない。
最後にはバブルがはじけて揺り返しがひどい。
バブルははじけたときに初めてバブルだと気がつく。
もっとも、実は安倍さん、そんなことわかっているのかも。
ハイパーインフレが来れば、国の借金は事実上チャラ。
政治的に困難な増税より容易だ。
財務省にとっては妙手と思えるだろう。
本当にそうなったら国民には過酷な未来が待っている。
そういう暗い未来を予想するのは私だけだろうか。
私は自衛のため何か対策をする気になっているのだが。
私の陰鬱な予想が杞憂であることを祈る。
(2013.1.29)
院長のつぶやき赤ワインよりコーヒーで
フランス料理は高カロリー、高脂肪食だ。
普通に考えれば典型的な健康に悪い食事のはずだ。
ところが、フランス人にはなぜか心疾患による死亡が少ない。
これをフレンチパラドックスという。
心疾患死亡が少ない理由は赤ワインをたくさん飲むからだとされる。
赤ワインに含まれるポリフェノールが寄与しているというのだ。
この仮説は、一時赤ワインブームを引き起こした。
ワインが好きな人にはワインを飲む良い口実になったことだろう。
私は酒はほとんど飲めない。
夕食時に梅酒のソーダ割をコップ1杯がせいぜいだ。
赤ワインなんか、グラス1杯でも顔が真っ赤になりそうだ。
常々、残念に思っていた。
ところが、最近耳寄りな話を聞いた。
コーヒーもポリフェノールが豊富で、赤ワインと同じくらいだという。
赤ワインを昼間から飲むわけにはいかないが、コーヒーなら毎食飲める。
日本人はポリフェノールの約半分をコーヒーから摂取しているそうだ。
コーヒー好きで食後にコーヒーを欠かさない私には朗報である。
調べてみると、コーヒーについての疫学的研究は近年すごく進んだ。
「コーヒーは健康への貢献度が最も高い食品の1つ」なのだそうだ。
多くのがんで、コーヒーがリスクを下げる。
特に肝がんでは1日2杯で43%リスクが下がる。
心疾患では、1日3~4杯で11%リスクが下がる。
脳卒中では、1日3~4杯で17%リスクが下がる。
米国NIH(国立衛生研究所)が40万人を13年間追跡した研究では、
コーヒーを1日4~5杯飲むと全死亡リスクが男で12%、女で16%低くなるという。
うーん。これはすごいね!
もっとコーヒーを飲まなくっちゃ!
なお、緑茶にもコーヒーの約半分のポリフェノールが含まれる。
コーヒーより緑茶が好きな人は緑茶を一生懸命飲んでもよいと思う。
ただ、緑茶なら1日8~10杯くらい飲む必要があるかも?
それに、緑茶での研究はまだ少ないので、本当に効くか断定はできない。
(2012.1.7)