川本眼科

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院長のつぶやき

院長のつぶやきハードディスク再クラッシュ

3年前、メインで使っているパソコンが壊れた。
ハードディスクがクラッシュし、データ復旧が大変だった。

そのことを教訓に対策を練った・・はずだった。
ミラーリングといって2台のハードディスクに同じ内容を書き込む。
さらにデータ復旧サービスも付けて万全・・のはずだった。

2週間ほど前、再びハードディスクがクラッシュ。
えーッ!まだ3年しか経っていないのに。

たちまちパソコンでしていた仕事は全部ストップ。
ミラーリングの2台とも動作が変だと言われ、
「念のため、2台とも新品に交換しておきました」

ほかの物なら新品になるとうれしいが、パソコンだけは別。
全て忘れてアホになったということだから。
元のように動かすため奮闘中だが道は遠い。
どこに何のファイルがあるのか探すだけで膨大な時間がかかる。
正直、手こずっている。しかも、上手くいっても元に戻っただけ。

途方もない時間の損失に、ただただためいきが出る。

(2014. 6.29)

院長のつぶやき遠近両用コンタクトの新規処方中止

2014.6.11から、遠近両用コンタクトの新規処方を中止した。
今まで使用していらっしゃった方には引き続き処方する。
また、単焦点のコンタクトは今まで通りに取り扱う。

遠近両用は装用者が少ない。
そのため、トライアルレンズをすべての度で用意できない。
いちいちメーカーに注文して届けてもらう必要がある。
しかし、実際に試してみると度を強めたり弱めたりも起こる。
その場合、また取り寄せて仕切り直しになったりする。
患者さんに何度も足を運んでいただくのは困難だ。

また、遠近両用コンタクトは夢の商品ではない。
相当に妥協が必要な代物だ。
患者さんの高い期待とのがギャップが激しい。
時間をかけて説明し、納得していただくしかない。
単焦点のコンタクトの何倍も時間がかかる。

ところが、川本眼科は混雑しすぎている。
2時間待ちで、待合室ではイライラが募っている。
そんな状況で、コンタクトの説明に時間はかけられない。

コンタクトを扱っている店はたくさんある。
コンタクト専売店のほうが品揃えも豊富だ。
土日もやっている。
患者さんにとってもメリットが多い。

自分たちが何に力を注ぐべきか、よく考えた。
白内障や緑内障や加齢黄斑変性症を診ることが私たちの仕事だ。
コンタクト店にはできない仕事だ。

よくよく検討した結果、遠近両用コンタクトから撤退することにした。
購入を検討していた方には申し訳ない。
諸般の事情を御斟酌いただければ幸いだ。

(2014.6.12)

院長のつぶやきカラーコンタクトの虚偽表示問題

カラーコンタクト(カラーCL)はトラブルが多い。
これは眼科医の常識だ。普通のコンタクトの10倍くらい多い気がする。
理由は2つあると思う。

1つは、若い女性が正しい知識を持たないで無茶をする問題。
ネット通販で「安いが粗悪な」製品を買う。
定期検診を全く受けない。
ケアも自己流できちんとしていない。
友人に勧められて安易に手を出す。
「大丈夫だよ。簡単だよ。教えてあげるよ」
ただ、その友人も正しい使い方は知らない。危険千万。

もう1つは、着色剤がレンズ表面に露出している問題。
着色剤は角膜側に露出しても、まぶた側に露出しても、問題を起こす。
角膜のキズやら、アレルギーやら・・ 感染も起こしやすくなる。
だから、着色剤は露出していてはダメ。
着色剤が内部に封入され、外に露出していないものなら安全。
眼科医はそのように患者さんに説明してきた。

ところが、この点に虚偽表示が見つかった。
国民生活センターが2014年5月22日に発表した資料によれば、
調査した17銘柄中9銘柄のカラーCLが虚偽表示をしていた。
本当は着色剤がレンズ表面に露出しているのに「内部に封入されている」と。
嘘がバレた。
つまり、表示を信用するわけにはいかないということ。

着色剤をレンズの内部に閉じ込めるには技術が必要だ。
コストも高くなる。つまり、そんなに安いはずはない。
誰も知らないような会社の製品、あまりに値段が安い製品は、危ない。

もっとも、有名メーカーでも、安心とは限らない。
自社生産ならそれなりに基準があって、遵守しているはずだ。
しかし、カラーCLでは他社から仕入れて売っている場合もある。
自社できちんと検査していない可能性があるので、注意が必要だ。

なお、現在、川本眼科で処方している「ディファイン」は
国民生活センターの調査でも問題なかった。
「イルミネート」は今回の調査の対象になっていない。

個人的には、カラーCLは困った流行だと思っている。
現状だと、なるべく手を出さないことをお勧めする。
それでも使いたい方は、ぜひ、眼科医に相談して下さい。

(2014.5.25)

■参考:虚偽表示をしていたカラーCL■
 Ever Color 1day (アイレ、アイセイ/台湾)
 One day Aire REAL (アイレ/台湾)
 Eye coffret 1day UV (シード/台湾)
 L-CON aDAY pop (シンシア/台湾)
 FRESHLOOK DAILIES (チバビジョン/独・米・シンガポール)
 BeeHeartB MAry (メリーサイト/台湾)
 BAUSCH+LOMB NATURELLE (ボシュロム・ジャパン/アイルランド)
 2WEEK VUETY (アイレ/台湾)
 tutti VANITY Rich (PIA株式会社/韓国)
※国民生活センターの発表による

—————————————————-
●追記 2014. 5.29
 FRESHLOOK DAILIES についてメーカーが反論している。
 http://www.alcon.co.jp/docs/nc-press-release_140523.pdf

 ちなみに、チバビジョン社はアルコン社に吸収合併された。
 今はアルコン株式会社ビジョンケア事業部になっている。

 川本眼科にも担当者が2名で来訪し、いろいろ釈明していった。
 私のホームページをわざわざ読んでいるんだと妙に感心。

 着色剤部分で凹凸はなく、角膜障害は起こさないという趣旨。
 現在まで着色剤に起因する障害の報告もないと力説。
 ん? 発表文と担当者の説明が微妙に食い違うような・・

 発表文では「レンズ表面に色素が露出しない」
 これは、正面からの反論だ。でも主張だけで証拠がない。
 そのことを証明する実験結果が示されなければ説得力に乏しい。
 国民生活センターは電子顕微鏡写真を呈示しているのだから。

 担当者は「たまたま露出したとしても障害を起こさない」
 それって本当なのか? 他のレンズとはどう違うのか?
 今日の説明ではレンズ素材と色素が一体性が強力らしい。
 これも初めて聞く話。証拠の呈示が必要だと思う。

 アルコン社が信用を重んじるメーカーだということは認める。
 FRESHLOOK DAILIES が重篤な眼障害を起こしたという話も聞かない。
 得体の知れない弱小メーカーと一緒にされたことは同情する。

 でも、逆にアルコン社ほどの世界的大メーカーならではの責任がある。
 着色剤が絶対に露出しない製品を作ってほしい。
 アルコン社の技術力ならそれは可能なはずだ。
 「行政が医療機器承認した」で満足してもらっては困る。
 もっと高いレベルの安全性を追求する姿勢を、強く期待する。

院長のつぶやきSTAP騒動

STAP細胞に関するドタバタが続いている。

小保方さんは悪意がなかったから無罪だと主張する。
しかし、これは科学の世界では通らない。
論文が不正か否かに悪意の有る無しは関係ない。
批判をする者は事実と違っていることを指摘すればよい。
悪意を証明する必要はないのだ。

論文の根管をなす大事なデータが正しいものでなかった。
単純ミスだなどという言い訳が通るはずがない。
刑事裁判と違い、過失か故意かは論じても意味がない。
これは重過失であって、その責任は故意と同等なのだ。

科学の世界では発表した論文がすべてだ。
「未熟だった」「間違えた」「忘れた」
「やっていけないとの認識がなかった」
「重圧があった」「多忙だった」
「論文で批判を浴びたのとは別に正しい画像がある」
「200回以上成功しているがその実験ノートはない」
「私以外に成功した人もいるがその人の名は言えない」
これって、何にも言い訳になっていない。

論文とは仮説の証明だ。
様々な仮説がある。アイデアと言ってもよい。
たくさんの仮説の中で、証明されるのはごくわずかだ。
大多数の仮説は誤りだとわかったり、放棄されたりして終わる。

STAP細胞は興味ある仮説だ。
ただ、今回の論文は証明に失敗した。撤回するしかない。
これでSTAP細胞は仮説の段階に戻った。
証明するには、新たな論文を出すしかない。

「無いこと」を証明するのは困難だ。存在するかも知れない。
でも、仮説でしかないものは「あります」とは言えない。
そして普通「ある」と言えないものは「ないもの」と扱われる。

論文の正しさは他の研究者が追試に成功することで担保される。
STAP論文は、その通りにやっても誰も追試に成功していない。
論文として、このことは致命的だ。

まだ若いし、失敗は失敗としてやり直せばよいと思っていた。
ただ、どうもこの人は科学の作法をご存じないようだ。
派手なマスコミ発表や弁護団による反撃って何なんだ・・
土俵が『科学』ではなく、『雇用』や『世間』になっている。
法廷闘争と思えばおもしろいが、科学者の道は踏み外したようだ。

科学の問題としては、もう既に決着はついている。
あとは、週刊誌やワイドショー的な興味だけだ。

(2014.5.7)

院長のつぶやきSTAP細胞は夢幻に

STAP細胞の論文は取り下げが決定的のようだ。
論文の中核となる部分に疑惑が浮上し、明確な説明もない。
博士論文での流用やコピー&ペーストも次々に指摘された。
「科学の常識を覆す大発見」は大スキャンダルとなりつつある。
第三者の追試で再現できれば大逆転だが、恐らく無理だろう。

私は2006年に川本眼科だより80「論文の捏造」を書いた。
ここに書いたことは今でもほぼそのまま正しいと思う。

「捏造ではないか」とささやかれている論文は実に多い。
研究者の友人によれば「世界中に蔓延している」

ただ、大半は疑惑のまま放置されている。なぜか。
検証するには再現実験が不可欠だが、時間も金もかかるからだ。
そんなことばかりしていたら、自分の研究に支障をきたす。
だから、普通は誰も論文の真偽を正面から問うことはしない。
マイナーな領域なら捏造でも見逃される可能性が高い。

今回は「革命的な大発見」だっただけに事情が違った。
多くの研究者が追試した。徹底的に論文のアラを探した。
その結果、通常ならバレるはずのない不正が次々に発見された。

Natureに載せたくて必死だったのだろう。
「泣き明かした夜も数知れず」も本当だったろう。
研究者は、結果が出ないとき、その苦しさは半端でない。
強いストレスに晒されていた。
能力以上に背伸びすることが求められていた。
自分の知り合いの研究者の状況から、それなりに想像はつく。
いろいろ事情は忖度することができる。

捏造は許されない。そのことだけは間違いない。
当分の間、叩かれまくって大変だろう。
小保方さんには、地道な研究に立ち戻ってほしい。
研究者はスターになる必要はない。研究成果がすべてだ。
捲土重来を期せばよいではないか。
次こそ誰にも文句の付けようのない業績をあげてほしい。

(2014. 3.13)

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